2025年10月から、19歳以上23歳未満の方を対象に、社会保険の扶養基準が130万円から150万円に引き上げられました。しかし、この制度には意外な落とし穴があります。本記事では、日本年金機構の公式情報をもとに、正確な判定方法を徹底解説します。
📌 基本ルール:年齢と収入の判定方法
✅ 年齢判定:12月31日時点で決まる
日本年金機構の公式発表によると:
「年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します」
つまり:
- 2025年12月31日時点で19~22歳なら、2025年は150万円基準が適用
- 誕生日が1月1日の方は、前日(12月31日)に年齢が加算される点に注意
🔍 知らないと損する!「年間収入」の2つの判定方式
実は、健康保険組合によって「年間収入」の計算方法が異なります。
📊 判定方式の比較表
| 判定方式 | 計算期間 | 採用組合 | 年収140万円の扱い |
|---|---|---|---|
| パターンA:「向こう1年間」方式 | 認定時点から将来12ヶ月 | 多くの組合健保・共済組合 | 月12.5万円超が続くと扶養削除の可能性 |
| パターンB:「1月累計」方式 | 1月1日~12月31日の累計 | NTT健保など一部組合 | 149.9万円以下ならOK |
パターンA:「向こう1年間見込み」方式(原則・多数派)
特徴:
- 認定時点から将来1年間の収入見込みで判断
- 「1月~12月」という暦年ではない
- 新規加入時や雇用形態変更時に適用
例:公立学校共済組合広島支部の規定
「年間130万円というのは、1月から12月までだけでなく、2月から翌年の1月、3月から翌年の2月までというように、どの12か月の累計でも判断します」
パターンB:「1月からの累計」方式(一部健保)
特徴:
- 既に扶養に入っている人の継続判定に使用
- 1月から累計して150万円を超えたら扶養から外れる
- NTT健保など一部の健康保険組合が採用
例:NTT健康保険組合の明確な規定
公式サイトには以下の記載があります:
「1月からの累計収入が130万円以上(被扶養配偶者を除く19歳以上23歳未満の者の年間収入は150万円以上。60歳以上または概ね障害年金受給要件に該当する程度の障がい者は180万円以上)を超えることがわかった日(給与支給日等)で削除」
これは明確に「1月~12月の累計」方式を採用していることを示しています。
📅 2025年の具体的な適用スケジュール
「1月累計」方式の健保組合の場合
| 判定項目 | 基準 | 2025年の適用 |
|---|---|---|
| 年齢判定 | 12月31日時点 | 2025年12月31日時点で19~22歳なら150万円基準 |
| 収入判定 | 1月~12月累計 | 2025年1月1日~12月31日の累計が149.9万円以下ならOK |
| 適用開始 | 10月1日から | 2025年1月~9月:130万円基準 2025年10月以降:150万円基準に移行 |
⚠️ 重要な注意点
1. 既に扶養に入っている方(2025年9月30日以前に認定済み)
日本年金機構の規定:
「令和7年9月30日以前に扶養認定済みの19歳以上23歳未満の被扶養者については、令和7年10月1日以降は年間収入が150万円以上見込まれる場合に被扶養者の削除(非該当)の届出が必要です」
解釈のポイント:
- 10月1日以降、自動的に150万円基準に移行
- ただし「150万円以上見込まれる」の判定方法は健保組合による
2. 遡及認定の場合
日本年金機構の規定:
「令和7年10月1日以降の届出で、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定します」
⚡ 月額基準にも要注意!
多くの健康保険組合には月額基準があります:
月額基準の目安
| 対象 | 月額基準 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 19~22歳(2025年10月以降) | 月12.5万円未満 | 150万円÷12ヶ月 |
| その他(原則) | 月10.8万円未満 | 130万円÷12ヶ月 |
注意:
- この基準を連続して超えると「向こう1年間150万円以上の見込み」と判定される可能性
- 急激な収入増は扶養から外されるリスクあり
💡 一時的な収入変動への対応(年収の壁・支援強化パッケージ)
朗報: 厚生労働省の新制度により、以下のケースでは扶養継続が可能です。
適用条件
- 雇用契約書では月12.5万円未満
- 一時的な残業・人手不足等で月額基準を超えた
- 事業主が「一時的な収入変動に係る証明書」を発行
効果:
- その年の収入が150万円を上回っても扶養継続可能
- 原則として連続2回までを上限
🎯 年収140万円を目指す場合の安全な働き方
推奨される収入配分(保守的アプローチ)
| 期間 | 月平均目安 | 累計目標 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1~9月 | 月11万円程度 | 約99万円 | 万が一の制度解釈違いに備える |
| 10~12月 | 月13.7万円程度 | 約41万円 | 月14万円以下に抑えるのが安全 |
| 年間合計 | - | 140万円 | - |
💎 より積極的な働き方(「1月累計」型健保の場合)
もし親御さんの健保組合が「1月累計」方式を採用している場合:
| 期間 | 働き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 1~9月 | 柔軟に調整可能 | 年末までの累計で判断されるため |
| 10~12月 | 調整して累計149.9万円以下に | 12月31日までの累計が基準 |
✅ 扶養維持条件の解釈
以下の条件をすべて満たす場合、2025年1月~12月の累計149.9万円以下で扶養維持が可能です:
4つの必須条件
- 2025年12月31日時点で19~22歳
- 親御さんの健康保険組合が「1月累計」方式を採用
- 2025年9月30日以前に既に扶養認定済み
- 2025年1月~12月の累計収入が149.9万円以下
📞 必ず確認すべき3つの質問
親御さんの健康保険組合に、以下を問い合わせてください:
質問1:収入の判定期間
「19~22歳の被扶養者について、2025年10月以降の年間収入150万円はどの期間で判定しますか?」
- 1月~12月の累計
- 向こう1年間の見込み
質問2:月額基準の取り扱い
「月額12.5万円を超える月があった場合、どのように判定されますか?」
質問3:既存被扶養者の扱い
「既に扶養認定済みの場合、10月1日以降はどのように扱われますか?」
📋 まとめ:健康保険組合別・対応チェックリスト
✅ 「1月累計」型健保(NTT健保など)の方
- 2025年12月31日時点の年齢を確認(19~22歳か)
- 1月からの累計収入を毎月管理
- 12月31日までに149.9万円以下に調整
- 月14万円以下を目安に働く
✅ 「向こう1年間」型健保(多くの組合健保・共済)の方
- 2025年12月31日時点の年齢を確認(19~22歳か)
- 月12.5万円未満を継続的に維持
- 雇用契約書の時給・時間を確認
- 一時的な収入増には「証明書」を活用
⚠️ 重要な免責事項
本記事は2025年12月3日時点の情報に基づいています。
- 健康保険組合によって運用が大きく異なります
- 最終的な判断は、親御さんが加入している健康保険組合にご確認ください
- 本記事の情報により生じた損害について、当方は責任を負いかねます
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【最終更新:2025年12月3日】