中小企業でも今後、自社専用の生成AIを導入する必要があると思われます。生成AI自体の開発は資金や要員の関係で困難です。IT企業が開発した何らかのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を利用することになります。
利用量に応じて課金されたり、利用量に制限があるサブスクリプションのサービスになります。
自社専用の生成AIを導入するメリットとデメリット
メリット
・データと知識の蓄積により自社事業やブランドに特化した対応が可能
・セキュリティ面で自社管理が可能で、他社システムへの依存を回避
・自社ニーズに即した柔軟な開発とカスタマイズが可能
・知的財産であるモデルやデータを自社で管理・活用できる
デメリット
・高額な導入・開発コストが必要
・モデルサイズが大きいため運用コストも掛かる
・専門的なAIエンジニアを持つ必要がある
・データ収集とモデル学習に時間が掛かる
・一般向けサービスよりも学習データが限定的な場合がある
ネックはやはり、導入開発コストです。ここをどう解決するかが重要な課題です。実際の稼働は利用するIT企業さえ間違わなければ、成功します。
どこの生成AIサービスを利用するか
現在、もっとも開発が佳境なのは、Azure OpenAI Serviceですが、アマゾンWEBサービス、Google Cloudも今後利用が増加すると考えられます。あるいはOPENソースで低コストで導入できるシステムも今後でてくると思われます。日本でも日本語のデータ学習が充実して直近のデータを反映できるサービスがでてくると考えられます。
AZURE OPEN AI SERVICEでどのくらい費用がかかるか考えてみました。
AZURE OPEN AI SERVICEとは
Azure OpenAI Serviceは、Microsoft Azure上で利用できるOpenAIのAIモデルを提供するサービスです。
Azure OpenAI Serviceを利用するメリットは、大きく分けて以下の3つです。
強力なAIモデルを活用できる
Azure OpenAI Serviceでは、OpenAIが開発した最新のAIモデルを利用することができます。これらのモデルは、テキスト生成、質問応答、文章要約、翻訳、情感分析など、さまざまなタスクで高い性能を発揮します。
安全でセキュアな環境でAIを活用できる
Azure OpenAI Serviceは、Microsoft Azureのセキュリティ機能によって保護されています。これにより、機密情報の漏洩や不正アクセスのリスクを軽減することができます。
クラウドベースで簡単に導入できる
Azure OpenAI Serviceは、クラウドベースのサービスであるため、特別なハードウェアやソフトウェアを用意する必要がありません。また、Azureの管理ポータルから簡単に利用を開始することができます。
具体的な活用例
・チャットボットや音声アシスタントなどのAIサービスを開発する
・テキストの自動生成や翻訳を行う
・顧客のニーズを分析する
・創造的なコンテンツを制作する
・自社の商品情報、人事情報、財務情報を利用した様々なソリューションの開発
AZURE OPEN AI SERVICEの費用
AZURE導入支援は、マイクロソフトだけではなく多くの認定企業があるので自社にあった企業が選定できます。「製造業、金融業、流通業等でどこの業種・業態でも得意です」というIT企業はさすがにありません。
説明)
モデル:モデルはバージョンのことで数が多いほど最新形です。現在、ChaatGPTは3.5ターボとGPT4があります。GPT4は高度なプログラミング、画像入力、ゲーム作成等ができます。
コンテキスト:コンテキストとは、何回も質問や回答を繰り返す中で、前の内容を覚えているトークン数です。4Kは4000トークン、32kは32000トークンです。
トークンとは、語数です。文字数ではありません。ひらがな、漢字、英字、カタカナで1文字1トークンから3トークンまで相違があります。またモデルによってカウント数が違います。計算が面倒なので私は文字数の1.2倍をおおむねのトークン数としています。in 1000トークンとは、AIに送信した1000トークンあたりの金額です。¥0.28とは1000トークン当たり28銭です。
OUTトークンとはAIから返信されたトークン数です。通常は依頼文と回答がセットなのでINとOUTを合計したものが、1通話あたりの金額となります。よくあるFAQですと、質問が200トークン回答が1000トークンくらいとすれば、chatgpt3.5-16kモデルで1回80銭、GPT4-32kモデルで20円かかります。ざっと20倍の開きがあるので、安易にFAQ等でGPT4を使用するとかなりの金額になります。もし、詳しい取り扱い説明をGPT4-32Kモデルで返信したらすぐに10,000トークン(約170円)くらいになるので、最初の設計で何をどう返すかをよく考えておく必要があります。
MICROSOFT AZUREのサービス利用費用
MICROSOFT AZUREは、クラウドサービスなので利用時間に応じて費用がかかります。小規模企業でどんなに節約しても毎月1万円はかかると思います。
AZURE OPEN AI SERVICEの構築費用
補助金を活用しても、小規模事業者持続化補助金は補助上限は200万円、IT導入補助金で350万円です。何をどう構築するのかにもよりますが、トータル費用が500万円とか600万円では済まないので、自社負担がかなりかかります。当面は検討段階にとどめておくべきだと思います。