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話題のAI音声入力「Typeless」を徹底調査|Windows標準の音声入力と何が違うのか

はじめに

2026年2月、SNSを中心に爆発的に話題になっているAI音声入力ツール「Typeless(タイプレス)」。「話すだけでプロが書いたような文章が完成する」と称され、多くのビジネスパーソンやライターの間で注目を集めています。

しかし、ここで素朴な疑問が浮かびます。Windowsには標準で「Win+H」キーを押すだけで使える無料の音声入力機能がすでに搭載されています。わざわざお金を出してまでTypelessを導入する理由はあるのでしょうか。

ここでは、Typelessの全機能、料金プラン、Windows標準音声入力との正確な比較、AI検索機能の実力まで、調査した結果をもとに解説します。

Typelessとは何か

Typelessは、スタンフォード大学出身の連続起業家チームが開発したAI音声入力プラットフォームです。「150年続いたキーボードによる入力は間違いだった」と提唱する彼らが掲げるコンセプトは「Speak, don't type(打たずに、話そう)」。

従来のSiriやGoogle音声入力、そしてWindowsの標準音声入力は、話した言葉をそのまま文字にする設計です。「えーと」「あのー」もそのままテキストになり、言い間違いもすべて反映されます。

Typelessはこれとは根本的に異なります。自然に話した内容をAIが文脈ごと理解し、不要なノイズを除去し、文法を整え、洗練された文章として出力してくれます。つまり「そのまま文字にする」のではなく「整えて文字にする」。これがTypelessと従来の音声入力の決定的な違いです。

Typelessの主要機能

フィラーワードの自動削除

「えーと」「あのー」「そのー」といった無意識に出るつなぎ言葉を、AIが自動的に検知して削除します。出力されるテキストは、最初から推敲されたかのようにクリーンです。

言い直し・重複の自動修正

「明日の会議は、いや、明後日の会議は…」と言い直した場合、Windows標準の音声入力ならそのまま両方が文字になります。Typelessは文脈を理解し、最終的な意図である「明後日の会議は」だけをテキストに残します。

アプリごとのトーン自動調整

Typelessの大きな特徴の一つが、使用中のアプリに応じて文体を自動で変える「コンテキスト認識」機能です。SlackやLINEではカジュアルで親しみやすいトーン、GmailやOutlookでは丁寧でプロフェッショナルなビジネス文書、NotionやGoogle Docsでは論理的で構造化された文章、GitHubでは技術的で簡潔なコメントというように、場面に合った文体をAIが判断してくれます。

100以上の言語に対応と自動言語検出

日本語と英語はもちろん、100以上の言語に対応しています。複数の言語が混在していても自動で検出し、シームレスに切り替えてくれるため、日英混在のビジネスメールも話すだけで適切に処理されます。

パーソナル辞書機能

業界用語や固有名詞、社内独自の用語などを登録できる辞書機能を搭載しており、使い込むほどに認識精度が向上します。Windows標準の音声入力にはこのようなパーソナライズ機能はありません。

小声(ウィスパー)モード

オフィスや公共の場など大きな声を出しにくい環境でも利用可能です。ワイヤレスイヤホンを使えば、ささやくような小声でも正確に認識してくれます。実際に使い込んだユーザーからは「電車の中で大きな声を出す必要がない」「カフェで周囲を気にせず使える」といった声が上がっています。

AI編集・翻訳機能

テキストを選択して「もっと短くして」「トーンを変えて」「英語に翻訳して」と声で指示するだけで、即座にAIが処理してくれます。音声入力だけでなく、入力後のテキスト編集まで声で完結できる点は、ほかの音声入力ツールにはない強みです。

クロスプラットフォーム対応

macOS、Windows、iOS、Androidの4つのプラットフォームすべてに対応しています。デバイスをまたいで統一した体験が得られるため、PCで書き始めた文章の続きをスマホで音声入力するといった使い方も自然にできます。

Windows標準の音声入力(Win+H)との正確な比較

対応アプリの範囲について ― よくある誤解を正す

Typelessの紹介記事やレビューの中には「Windows音声入力は対応アプリが限定的」と書かれているものがありますが、これは不正確です

実際に検証したところ、Windows音声入力(Win+H)はテキスト入力が可能なほぼすべてのアプリケーションで動作します。メモ帳、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Chrome・Edgeなどのブラウザ、WPS Writer、LibreOffice Writerなどのサードパーティ製ソフトまで、カーソルが点滅している入力欄であれば基本的にどこでも使えます。

動作しない場面はパスワード入力欄(セキュリティ上の制限)、一部のターミナル・コマンドプロンプト、管理者権限で起動したアプリ程度に限られます。

したがって、「対応アプリの広さ」はTypelessを購入する理由にはなりません。Typelessの「Works everywhere」が意味するのは、むしろMac・Windows・iOS・Androidのクロスプラットフォーム対応という点です。

本当の違いはどこにあるのか

Windows標準の音声入力とTypelessの違いは、アプリ対応範囲ではなく「AIによる文章処理の賢さ」にあります。その違いを整理します。

認識精度について。Windows音声入力の認識精度は85〜90%程度とされています。一方、Typelessのような最新AI音声入力は96%以上の精度が報告されています。ただし、Typelessの場合はフィラー除去や言い直し処理がある分、「体感的な精度」がさらに高く感じられるという側面もあります。

文章整形について。Windows音声入力は話した言葉をそのまま文字にするだけであり、「えーと」も言い間違いもそのまま入力されます。Typelessはフィラー除去、言い直し吸収、文法修正、句読点の適切な配置まで自動で行い、そのまま送信できるレベルの文章に仕上げます。

日本語での編集コマンドについて。Windows音声入力は日本語環境で使える編集コマンドが非常に限られています。「それをさくじょ」「それをせんたく」など最低限のものしか対応しておらず、「Select that」「Undo」「Copy」などの便利なコマンドは英語環境でしか使えません。Typelessは声での編集指示が日本語でも自然に機能します。

オフライン対応について。Windows音声入力はインターネット接続が必須です(Azure Speechサービスを利用)。Typelessも現状はクラウド処理が前提で、オフライン対応は開発中とされています。この点では両者とも同じ制約を持っています。なお、Windows 11のCopilot+ PCでは「Fluid Dictation」というオンデバイスのAI整形機能が英語限定で登場しており、今後の日本語対応が注目されます。

料金プラン詳細

Typelessの料金体系はシンプルで、FreeプランとProプランの2つです。

Freeプラン(無料)

料金は月額0ドル。週4,000ワードまでの音声入力が可能で、月換算で約16,000ワードになります。高速な音声入力、AIによる自動編集(フィラー除去、言い直し修正、文法整形)、パーソナル辞書、100以上の言語対応、macOS・Windows・iOS・Android・Web対応、セキュリティ機能(クラウドでのデータ保持ゼロ、AI学習への不使用、履歴はデバイス内のみ保存)がすべて含まれます。

週4,000ワードという無料枠は、カジュアルな使い方であれば十分な量です。音声入力AI市場の中でも最も寛大な無料枠の一つと評価されています。

Proプラン(有料)

年払いで月額12ドル(年額144ドル、日本円で約1,800円/月)、月払いで月額30ドル(約4,500円/月)です。年払いと月払いで価格差が2.5倍あるため、継続利用するなら年払いが大幅にお得です。

Proプランでは、Freeプランの全機能に加えて、無制限のワード入力(週の上限なし)、優先フィーチャーリクエスト(機能要望が優先的に反映)、新機能への早期アクセス、チームメンバー管理機能が利用できます。

30日間無料トライアル

新規アカウントを作成すると、自動的にProプランの30日間無料トライアルが開始されます。トライアル期間終了後は自動的にFreeプランに切り替わり、クレジットカードの事前登録は不要です。うっかり課金される心配がないため、気軽に試すことができます。

Enterpriseプラン

利用規約にはEnterpriseプランの記載がありますが、公式料金ページには掲載されておらず、大規模組織向けの個別相談ベースのようです。

チームでの利用

独立した「チームプラン」は存在しませんが、Proプランを契約すればいつでもチームメンバーを追加できます。料金は1メンバーあたり月額12ドル(年払い)または月額30ドル(月払い)です。

AI検索機能の実力 ― Perplexity・ChatGPTと比べてどうか

Typelessは音声入力だけでなく、「Ask anything」としてAI検索・AI質問機能も搭載していることをアピールしています。公式サイトでは「ChatGPTを開かなくてもTypeless内で検索・編集まで完結できる」と紹介されています。では、この機能は専用のAI検索ツールと比べてどの程度のレベルなのでしょうか。

機能の中身

TypelessのAI関連機能は3つに分かれます。「Speak to edit selected text」はテキストを選択して声で編集指示を出す機能、「Speak to ask about selected text」はウェブサイトやドキュメント上のテキストを選択して要約・説明・翻訳を依頼する機能、「Quick answers & actions」は声で質問すると最新情報を調べたりブレスト補助をしてくれる機能です。

専用AI検索ツールとの比較

PerplexityはリアルタイムにWeb情報を収集し、出典URLを明示した上で要約・回答する検索特化AIです。複数のAIモデルの切り替えや深掘りリサーチモードなど、情報の信頼性検証を重視した設計になっています。ChatGPTはWeb検索と高度な推論を組み合わせ、複雑な質問への多段階回答やコード生成まで幅広く対応します。Geminiはリアルタイム性と情報網羅性に強みがあります。

これらと比較すると、TypelessのAI検索機能はまったく別のカテゴリーです。Typeless自身も「検索の品質で勝負する」とは主張しておらず、「作業中にわざわざブラウザを切り替えなくても、簡単な質問ならTypeless内で済ませられる」という文脈でこの機能を紹介しています。

ユーザーの評価が語る現実

Typelessのレビュー記事は大量に存在しますが、そのほぼすべてが音声入力の精度、フィラー除去、文章整形の品質について語っており、AI検索機能に言及しているものは事実上ゼロに近い状態でした。2週間使い込んだユーザーの詳細レビューでも、この機能への言及はありませんでした。

つまり、TypelessのAI検索機能は「作業中にちょっと調べ物をする便利ショートカット」程度の位置づけであり、本格的な調査や検索にはPerplexity、ChatGPT、Geminiなどの専用ツールを使うべきです。Typelessを購入する際に、AI検索機能を理由にする必要はありません。

プライバシーに関する注意点

Typelessは「プライバシーファースト」を掲げており、音声データは処理後サーバーに保存されない(ゼロデータ保持)、AI学習にも使用されない、履歴はデバイスにのみ保存される、と説明しています。

ただし、ここで重要な区別があります。「サーバーに保存しない」ことと「外部に送信しない」ことはまったく別の概念です。Typelessは公式のPrivacy Policy/Data Controlsで、音声と使用アプリ・関連テキストなどの限定的コンテキストをクラウドでリアルタイム処理すると明記しています。処理後に破棄するとはいえ、処理中はクラウドに送信されるのです。

また、第三者AIパートナーとしてOpenAIの名前が挙がっており、データが米国へ移転・処理され得る旨もポリシーに記載されています。

2026年2月にはX(旧Twitter)上で、リバースエンジニアリングによる解析結果として「想定以上のデータ収集が行われている」という指摘が拡散しました。この主張は第三者投稿であり独立検証された事実ではありませんが、ストア説明の「Everything stays local」という表現と公式ポリシーのクラウド処理の記載に矛盾があるように見える点は、注意しておく必要があります。

医療情報、患者情報、契約条項の核心、未公開戦略、APIキーやパスワードなど、機密性の高い情報をTypelessで音声入力することは避けるべきです。高機密の場面ではiPhoneの標準ディクテーション(多くの言語でオンデバイス処理)やFUTO Voice Input(完全オフライン)など、オンデバイス系の代替手段を検討することをお勧めします。

結局、お金を出す価値はあるのか

ここまでの調査を踏まえて、Typelessに投資する価値があるかどうかの判断基準を整理します。

Typelessが向いている人

毎日大量のメール・チャット・ドキュメントを書くビジネスパーソンには大きな価値があります。実際のユーザーからは「メール返信が20分で済むようになった」「移動中の隙間時間でチャットをさばけるようになった」という声が多数上がっています。入力速度はタイピングの約4倍(220WPM)とされており、月額約1,800円(年払い)で毎日20分以上節約できるなら、投資対効果は十分です。

ブログやレポートなど長文を効率的に書きたいライター、移動中にも文書作成を進めたい営業担当者や経営者、コードコメントやGitHub Issueを素早く作成したいエンジニア、ChatGPTやClaudeへのプロンプト入力を高速化したいAIユーザーにも適しています。

Windows標準の音声入力で十分な人

たまにしか音声入力を使わない人、話した言葉がそのまま文字になれば十分という用途の人、手直しの手間を気にしない人であれば、Windows標準の音声入力(Win+H)で事足ります。無料で追加インストール不要、カーソルが点滅しているほぼすべてのアプリで使えるため、まずはこちらから試してみるのも良いでしょう。

おすすめの試し方

Typelessは30日間のProプラン無料トライアルがクレジットカード登録なしで試せます。まずは無料でアカウントを作り、30日間フル機能を使ってみて、自分の業務にどの程度のインパクトがあるかを体感するのが最も確実な判断方法です。トライアル終了後も週4,000ワードの無料プランに自動移行するだけなので、リスクはありません。

まとめ

Typelessは「音声をそのまま文字にするツール」ではなく、「話し言葉をAIがビジネス文書レベルに自動整形してくれるライティングアシスタント」です。Windows標準の音声入力との違いは、対応アプリの広さではなく、フィラー除去、言い直し吸収、アプリごとのトーン調整、パーソナル辞書、小声対応、AI編集・翻訳といった「AIの賢さ」の部分にあります。

一方で、AI検索機能は専用ツールに遠く及ばないおまけ程度の機能であること、プライバシーについてはクラウド送信が前提であり機密情報の取り扱いには注意が必要であること、この2点は冷静に認識しておくべきです。

1日約60円の投資で日々のテキスト入力作業が劇的に変わる可能性があるかどうか。その答えは、30日間の無料トライアルで自分自身の手(いえ、声)で確かめてみてください。

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