アマゾン

アマゾンはマーケットプレイス型ECモール(出品型)と言われています。

 マーケットプレイス型ECモールの定義と基本概念

マーケットプレイス型ECモールとは、複数の販売者(出品者)が同一のオンラインプラットフォーム上で商品を出品し、消費者に直接販売できる電子商取引の場を指します。特徴的なのは、各企業が「出店」という形ではなく「出品」という形態でプラットフォームを利用する点です。

 基本的な仕組み

マーケットプレイス型ECモールでは、次のような基本的な仕組みで運営されています:

  1. 商品データの管理: 商品データ自体はモール側が管理するケースが多い
  2. 統一されたフォーマット: 出品される商品は統一されたデザインフォーマットで表示される
  3. 購入の流れ: 注文が入ると出品者に商品データと購入者の情報が送信される
  4. 物流対応: 出品者は送られた情報に基づいて発送作業を行う(例:Amazonでは「FBA」など物流支援サービスも提供)

 テナント型ECモールとの違い

マーケットプレイス型ECモールは、テナント型ECモール(例:楽天市場)とは明確に異なります。主な違いは以下の通りです:

マーケットプレイス型テナント型
「出品」という形式で商品単位で参加「出店」という形式でショップ単位で参加
統一された商品ページフォーマット独自のショップページをカスタマイズ可能
店舗の概念が薄いショッピングモールのような店舗の概念が強い
商品力や価格での競争が中心ブランド力やショップの個性での差別化が可能

マーケットプレイス型は農協の青果売場のようなもので、1つの売場に各農家が出品した野菜や果物が並んでいるイメージになります。

 主要なマーケットプレイス型ECモール

 国内の代表的なマーケットプレイス型ECモール

  1. Amazon:最も代表的なマーケットプレイス型ECモール。FBA(フルフィルメント by Amazon)によって商品の保管からピッキング、発送作業までをアウトソースすることが可能です。
  2. メルカリ:主にCtoCの取引に特化したマーケットプレイスで、個人が手軽に不要な物を出品できるプラットフォームとして人気です。
  3. Qoo10:アジア地域で展開される大規模なマーケットプレイスで、2023年9月の発表では流通総額が2,305億円とされています。

 海外の代表的なマーケットプレイス型ECモール

  1. eBay:世界的に展開されるオークションと即決販売を組み合わせたマーケットプレイスで、越境ECにも対応しています。
  2. Shopee/Lazada:東南アジア市場に特化したマーケットプレイスで、ライブコマース機能や現地のニーズに合わせたサービスを提供しています。

マーケットプレイス型ECモールのビジネスモデルと収益構造

 基本的な収益モデル

マーケットプレイス型ECモールでは、主に以下の収益源からビジネスモデルが構築されています:

  1. システム利用料:プラットフォーム利用のための基本料金
  2. 売上手数料:商品の売上に対して一定の割合(数%)を徴収
  3. その他のサービス手数料:物流サービスなど付加的なサービスに対する料金

代表的な5つの収益戦略

  1. コミッションモデル:取引成立時に手数料を徴収(例:Airbnb)
  2. サブスクリプションモデル:定期的な利用料を徴収(例:OnBuy)
  3. リスティングフィーモデル:出品ごとに料金を課す(例:Craigslist)
  4. 広告料モデル:優先表示などの宣伝効果に対して料金を徴収(例:Etsy、Gumtree)
  5. リードフィーモデル:見込み客情報に対して料金を課す(例:Upwork)

出店者(出品者)と購入者にとってのメリットとデメリット

出店者(出品者)にとってのメリット

  1. 低い参入障壁:自社でECサイトを構築するよりも、初期投資や運用コストを抑えて販売を開始できる
  2. 既存の集客力の活用:大手マーケットプレイスの持つ巨大な顧客基盤や集客力を活用できる
  3. 業務負担の軽減:マーケットプレイスの提供する決済システムや顧客対応の一部を任せられるケースがある
  4. 物流サポート:例えばAmazonのFBAのような物流支援サービスを利用できる場合がある

出店者(出品者)にとってのデメリット

  1. 手数料負担:初期出店料、月額出店料、使用料や販売手数料など、さまざまな費用が発生する
  2. 顧客データの制限:顧客情報が基本的にモール側の所有となり、マーケティング施策や販促活動に活用しにくい
  3. ブランディングの難しさ:統一されたフォーマットで表示されるため、自社ブランディングが難しい
  4. 価格競争:同一商品を複数の出品者が販売するため、価格競争が激化しやすい

購入者にとってのメリット

  1. 商品選択の幅広さ:多くの出品者が参加することで多様な商品から選択できる
  2. 比較購入のしやすさ:同一商品の異なる出品者による価格やサービスの比較がしやすい
  3. 統一された購入体験:共通のインターフェースで購入プロセスが標準化されているため使いやすい
  4. 信頼性:大手マーケットプレイスの持つ信用や保証制度による安心感

購入者にとってのデメリット

  1. 出品者ごとのサービス品質のばらつき:出品者によって配送速度や対応に差がある場合がある
  2. 個別店舗とのつながりの薄さ:「モール全体で購入した」という認識になりやすく、特定の店舗との関係構築が難しい

マーケットプレイス型ECモール構築の重要ポイント

マーケットプレイス型ECモールを構築する際に考慮すべき重要なポイントは以下の通りです:

  1. 管理画面の設計:運営者用と出品者用の管理画面をどう分けるか、出品者が何を管理できるかを明確にする
  2. 決済システム:複数出品者の商品を一括決済する仕組み、各出品者への振込、ポイント・クーポンの処理を含む決済システム
  3. 商品の配送管理:購入後、各出品者が受注データをもとに配送する仕組み、配送後の通知や管理画面上でのステータス更新
  4. 手数料管理:システム利用料と売上手数料の徴収方法、特に一括決済の場合に手数料を差し引いた金額を出品者に振込む仕組み
  5. オプション機能:ランキング、ポイント制度、クーポン、キャンペーン割引など、顧客満足度を高める機能
  6. 承認機能:出品登録後に運営者が商品の内容などを承認する仕組み
  7. サポート体制:FAQ、購入ガイド、出品者向けマニュアル、ヘルプデスクなどの整備

最新トレンドと将来展望

バーティカル化・専門化の進行

近年の傾向として、特定のカテゴリーや業界に特化した「バーティカル・マーケットプレイス(垂直型マーケットプレイス)」が注目されています。専門化されたバーティカル・マーケットプレイスは、特定の分野に特化することで信頼性と信用性を高め、買い手と売り手が安心して取引できる環境を提供しています。

例えば、ファッション特化型の「BUYMA」、靴・バッグ特化型の「ロコンド」などが代表例として挙げられます。

体験価値の提供

マーケットプレイス型ECは、単なる物販を超えて、体験価値を提供する新しいプラットフォームとして注目されています。商品販売だけでなく、関連するサービスやコンテンツを組み合わせた総合的な顧客体験を提供する方向に進化しています。

テクノロジーの活用

AI、IoT、AR/VRといった新技術の活用も進んでいます。ECの主要トレンドとしてAI・IoTの活用が挙げられており、パーソナライズされた商品推薦や顧客対応の効率化などが進んでいます。

グローバルな市場拡大

越境ECの重要性が増しており、将来的には分散型マーケットプレイスの発展により、消費者と売り手が直接取引を行う新しいECモデルが生まれる可能性を指摘しています。

まとめ

マーケットプレイス型ECモール(出品型)は、複数の出品者が統一されたプラットフォーム上で商品を販売できる形態であり、Amazonをはじめとする大手ECプラットフォームで採用されています。その特徴は、出店ではなく出品という形態、統一された商品ページフォーマット、取引手数料を中心とした収益モデルにあります。

出品者にとっては低い参入障壁と既存の集客力の活用というメリットがある一方で、手数料負担やブランディングの難しさというデメリットもあります。購入者にとっては商品選択の幅広さと比較購入のしやすさがメリットですが、出品者ごとのサービス品質にばらつきがあるというデメリットも存在します。

今後のトレンドとしては、特定分野に特化したバーティカル・マーケットプレイスの台頭、体験価値の提供、新技術の活用、グローバル市場への展開などが挙げられます。これらの動向を踏まえ、マーケットプレイス型ECモールは単なる販売プラットフォームから、体験や価値を提供する総合的なプラットフォームへと進化していくことが予想されます。

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