補正予算案が閣議決定!総額1兆円超の生産性向上支援が実現
2025年11月28日、政府は令和7年度補正予算案を閣議決定しました。この補正予算案は今後国会審議を経て可決される見込みです。
中小企業・小規模事業者等関連予算は総額8,364億円、既存基金の活用を含めると1兆円を上回る規模となる大規模な生産性向上・省力化投資支援パッケージとなっています。
注目の制度変更!IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」に
名称変更の背景と意義
従来のIT導入補助金は、デジタル化・AI導入補助金に呼称が変更されました。
中小企業庁経営支援部イノベーションチームによると、「基本的な仕組みはIT導入補助金と同じですが、生産性向上に生成AIをはじめとするツールが大きく寄与するため、その思いを込めた名称変更」とのことです。
デジタル化・AI導入補助金の概要
- 補助対象:認可されたITツールやAIツールの導入
- 補助率:1/2(経費の半分を補助)
- 目的:中小企業等の労働生産性向上、業務効率化、DX推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度対応など
重要ポイント:AI限定ではなく、幅広いデジタルツールが対象となります。
小規模事業者持続化補助金も継続・拡充
独自のAIシステム導入で最大200万円の補助
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が独自のAIシステムを導入して生産性向上や賃金アップを図る取り組みも支援します。
補助金額と補助率
- 補助上限額:最大200万円
- 補助率:
- 基本:1/2(経費の半分)
- 特定の枠組み:2/3(経費の3分の2)
- インボイス特例:条件を満たす場合は最大250万円まで上乗せ可能
対象となる取り組み
- 経営計画に基づく販路開拓
- 販路開拓と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取り組み
生産性革命推進事業の全体像【3,400億円】
令和7年度補正予算案では、「生産性革命推進事業」として以下の補助金が含まれています。これらは3,400億円の内数として計上されています。
「内数」とは:全体予算3,400億円の中に、これらの補助金が含まれているという意味です。別枠で追加されるわけではありません。
4つの柱となる補助金
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・M&A補助金
- 中小企業成長加速化補助金
これらの補助金を活用して、デジタル化、販路開拓、事業承継・M&Aに係る設備投資等を後押しします。特に物価高や米国関税の影響を踏まえた重点的なハンズオン支援などの総合的なソフト支援も実施されます。
革新的製品開発・新事業進出支援【既存基金1,200億円規模】
中小企業等が革新的な製品・サービスを開発したり、海外を含む新市場へ進出する際に必要な設備投資等を支援します。
「ものづくり補助金」は継続
これまで中小企業生産性革命推進事業の中心だったものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、2025年度補正予算案のPR資料には記載がありませんでしたが、中小企業庁は「基本的にものづくり補助金は継続する」と説明しています。
この1,200億円規模の既存基金を活用した「革新的製品等開発や新事業進出支援」の項目に含まれています。
省力化投資支援【既存基金1,800億円規模】
人手不足対応の切り札として、省力化投資を集中的に推進します。
業種別の「省力化投資促進プラン」
従業員規模ごとの補助上限額を見直すなど、業種別の「省力化投資促進プラン」を踏まえた支援を展開します。これにより、各企業が業態に合わせた効率的な投資を実施できるようになります。
省力化投資補助金の2つの類型
- カタログ注文型:事前に登録された省力化製品を選んで導入
- 一般型:オーダーメイド性のある多様な設備やシステムを導入可能(最大1億円を補助)
生成AIの活用で支援を受けるには
私たちが生成AIの活用で支援可能な分野は、主に以下の補助金になります:
- デジタル化・AI導入補助金:認可されたAIツールの導入支援
- 小規模事業者持続化補助金:独自のAIシステム導入による生産性向上支援
- 省力化投資補助金:AI技術を活用した省力化設備の導入支援
これらの補助金を活用することで、中小企業・小規模事業者は生成AIを含む最新のデジタル技術を導入し、生産性向上や賃金アップを実現することができます。
まとめ:今後のスケジュールと活用のポイント
今後の流れ
- 2025年11月28日:補正予算案閣議決定(完了)
- 今後:国会審議
- 可決後:各補助金の公募開始
活用のポイント
■ 早めの情報収集:各補助金の公募要領が発表され次第、詳細を確認しましょう
■ 専門家への相談:商工会・商工会議所、認定支援機関、よろず支援拠点などの支援機関を活用しましょう
■ 計画的な準備:補助金申請には事業計画書の作成が必要です。早めに準備を始めましょう
■ 成果目標の設定:事業終了後の生産性、賃金等の向上が成果目標として求められます
令和7年度補正予算案は、中小企業・小規模事業者にとって大きなチャンスです。デジタル化・AI導入、省力化投資、販路開拓など、自社の課題に合った補助金を活用し、持続的な成長と賃上げを実現していきましょう。