
楽天市場に出店してしばらくは順調だったのに、昨年あたりから売上が落ちてきた。とくに「アクセス数が減っている」感覚が強い——。
食品ジャンルで、しかも同一JAN(型番)商品の相乗りが主力の場合、この悩みはとても典型的です。
本記事では「なぜアクセスが減るのか」を現状の楽天の構造に沿って整理し、最短到着3日・地域別送料・広告未使用という条件でも、現実的にアクセスを戻していくための手順を、考えてみました。
前提:アクセス減=「露出減」か「クリック率低下」
楽天でアクセスが減ったとき、原因は大きく2つに分かれます。
- 露出減(表示回数が減った)
検索順位や露出面(検索結果、ランキング、イベント導線など)で見られなくなっている状態。 - クリック率低下(表示はあるがクリックされない)
検索結果に出ているのに、価格・送料・ポイント・レビュー・納期表示などの“見た目”で負けてクリックされていない状態。
同じ「アクセス減」でも打ち手は逆になります。
だから最初にやるべきは、精神論ではなく 数字で切り分けです。
食品×同一JAN相乗りが抱える“構造的不利”とは
1. 同一JANは比較が一瞬で終わる
ユーザーはJAN/型番で検索し、同じ商品を並べて見ます。ここで勝負になるのは、
- 実質価格(商品価格+送料)
- 納期(最短到着)
- ポイント/クーポン
- レビュー数・評価
- 店舗の信頼(配送・対応の印象)
つまり、商品力が同じなら「条件」で負けた瞬間にクリックされません。
2. 食品は“急ぎ需要”が強い
食品は日用品・嗜好品・ギフトなど幅広いですが、共通して言えるのは
「できれば早く欲しい」「受け取れる日が重要」という傾向。
ここで、今回の前提である 最短到着3日 は、検索結果の比較において不利になりやすいです。
(到着が早い競合がいるほど、クリック率・転換率が落ち、結果的に露出も落ちる循環が起きやすい)
3. 地域別送料は“実質価格”で不利になりやすい
検索結果では送料無料が強い。地域別送料は、ユーザーが「結局いくら?」と感じやすく、離脱・比較負けの原因になりがちです。
4. 広告未使用は「販売実績の回復が遅い」
露出が落ちたとき、自然検索のみで戻すには時間がかかります。
広告がない=露出を補助できない=売れない期間が長引きやすい、ということです。
最初の1日でやるべき:アクセス減を“分解”して原因特定する
ここが曖昧だと、改善が当たりません。RMS(楽天の管理画面)で、最低限次を見ます。
1. 商品別に「表示回数」「クリック数」を見る
主力SKU(売上上位10〜20)で、昨対・前年差分で比較します。
- 表示回数が落ちた → 露出減(順位/導線/イベント露出が弱い)
- 表示回数は同等でクリック数が落ちた → CTR低下(条件の見た目負け)
2. 流入元の比率を確認する
- 検索流入が落ちたのか
- イベント時だけ落ちたのか
- リピート導線が落ちたのか
食品はイベント依存度が高い店舗も多いので、「イベント週だけ弱い」のか「平常時から弱い」のかで施策が変わります。
対策 同一JANの“正面衝突”を減らしつつ、露出を回復する
今回の条件(食品/同一JAN相乗り/地域別送料/最短到着3日/広告なし)では、最短ルートはこの2本立てです。
- 同一JAN土俵でも勝てる条件に寄せる(クリック率と転換率を改善)
- JAN比較から外れる導線(セット・切り口商品)を作り、新しい検索面でアクセスを増やす
この2つを同時にやると、回復が早く、再現性も上がります。
施策①:同一JAN土俵で「クリックされる条件」を作る
1. 送料の見え方を変える(地域別送料の弱点を減らす)
食品の相乗りでは、送料が最大のボトルネックになりがちです。選択肢は次の順で検討します。
A. 送料無料ライン(例:3,980円)に“届く商品設計”をする
- 単品で届かないなら、後述のセット化で届かせる
- 「送料無料に届く買い方」を分かりやすく提示する(ページ上部・同梱提案)
B. 主力だけ送料無料込み価格にして“比較負け”を止める
- 粗利と相談が必要ですが、アクセス回復には効きやすい
C. イベント時だけクーポンで送料相当を吸収する
- 常時だと利益が削られるので、波を作って運用する
ポイント:送料は「ユーザーの不安」と「比較のしづらさ」を生みます。
“送料無料で買える状態”を増やすと、CTRが上がり、結果的に検索露出にも好影響になりやすいです。
2. 納期(最短到着3日)を“不利に見せない”
短縮できない場合でも、見せ方で離脱は減らせます。
- ページ上部に「お届け目安:最短3日〜」を明記し、受け取りの見通しを良くする
- 日付指定が可能なら「指定方法」を明確化
- 営業日カレンダー、出荷の締め時間(分かる範囲)を提示
- 「発送は早いが距離で到着が3日」など事情があるなら、誠実に書く
食品は「受け取れる日が読める」だけで安心が増え、転換率が上がります。
転換率が戻ると、同じ露出でも売上が戻りやすく、露出回復にも繋がりやすくなります。
3. 検索結果の“見た目”を勝たせる(CTR対策)
同一JANでは、検索結果上の比較でほぼ勝負が決まります。
- 商品名:JAN名だけで終わらせず「用途」「特徴」「量」を入れる
例:- 「(JAN商品名) 〇〇g×3袋 送料無料ライン対応」
- 「(JAN商品名) ギフト対応/のし可/常温」など
- サムネ:内容量・個数・温度帯・ギフト可否など、比較で効く情報を視認性高く
- ポイント・クーポン:イベント時は“押すSKU”を絞る(全商品薄くやると弱い)
施策②:セット化・切り口変更で「JAN比較から外れる入口」を作る(最重要)
相乗り単品で古参に勝つのは、条件勝負になりやすく消耗します。
食品はここを突破しやすいジャンルです。理由は「組み合わせ価値」が作れるから。
1. すぐ作れる鉄板:まとめ買いセット
- 2個セット/3個セット
- 〇〇円以上で送料無料に届く価格設計
- 同一商品のまとめ買いは需要が強く、客単価も上げやすい
効果
- JAN単品の価格比較から外れやすい(別商品ページとして新規入口になる)
- 送料問題を解消しやすい
- 広告も当てやすい(利益が残りやすい)
2. 食べ比べ・用途別セット(検索キーワードが増える)
- 味違い、産地違い、辛さ違い、サイズ違い
- 「朝食セット」「おつまみセット」「鍋セット」など用途でまとめる
効果
- 「食べ比べ」「詰め合わせ」「ギフト」など、JAN以外の検索面を取れる
- 到着が3日でも許容されやすい“計画購買”に寄る
3. ギフト設計(食品は強い)
- のし、包装、メッセージカード、手提げ袋など
- 季節需要(お中元・お歳暮・母の日等)に合わせて入口を作る
効果
- 早さより「体裁」「安心」「失敗しない」が重視されやすい
- レビューの獲得も進みやすい
広告未使用の店舗がやるべき最小広告 RPPを“少額・限定”で導入
「広告=怖い/赤字になる」という印象がある場合、設計が原因であることが多いです。
今回のようにアクセスが落ちている局面では、RPPは露出を戻すためのブースターになり得ます。
1. いきなり全商品に出さない
まずは以下に絞ります。
- まとめ買い・セット(利益が残りやすい)
- レビューが比較的ある
- 商品ページが最低限整っている(不安要素が少ない)
2. 目的は「まず表示回数とクリックを戻す」
初期はROAS最大化より、
- どのキーワードでクリックされるか
- どのSKUが伸びるか
の“地図”を作る感覚が重要です。
3. 運用は週1回でよい(継続が勝ち)
- 無駄クリックが多いキーワードを止める
- 良いキーワードに寄せる
- イベント前は一時的に強める
楽天イベント(お買い物マラソン/SS)でアクセスを取りに行く設計
食品はイベントとの相性が良い反面、「毎回同じことをやって疲弊」もしがちです。
おすすめは2階建てです。
- 集客用(アクセスを集める):送料無料セット・食べ比べ・目玉クーポン対象
- 利益用(粗利を確保):上位互換セット、ギフト、関連品同梱
イベントで入ってきたユーザーを、同梱提案・関連商品の導線で回遊させる設計にすると、アクセスが売上に変わりやすくなります。
物流がネック(最短到着3日)の場合の現実的な考え方
到着が3日なのは、距離・温度帯・出荷体制のどれかです。
短縮できるなら大きな武器になりますが、できないなら 「遅い店」ではなく「計画購買の店」 にポジションをずらすべきです。
具体的には、
- 「お取り寄せ」「直送」「限定」「ギフト」「まとめ買い」などの検索面を伸ばす
- 到着目安を明確にし、安心して待てる情報を増やす
- リピート導線(次回まとめ買い)を強化する
この方向が勝ちやすいです。
30/60/90日での実行ロードマップ(現場で回せる形)
最初の7日(原因特定+土台)
- 主力20SKUの「表示回数・クリック数」を昨対比較
- 主要キーワード(JAN、商品名、用途系)を10〜20個選定し、順位・競合条件を記録
- 商品名・サムネ・ページ上部の配送表記(到着目安/指定方法)を整備
- セット商品の企画(2個/3個・食べ比べ)を決める
8〜30日(アクセスの入口を増やす)
- セット商品を商品登録し、ページを作り込む(比較表・FAQ)
- イベント向けのクーポン設計(集客用SKUを絞る)
- RPPを“少額・セット中心”で開始し、週1回改善
31〜90日(伸びる型を固定化)
- 伸びたセット・キーワードに在庫/導線/広告を集中
- ギフト対応、季節ページ、ランキング導線の整備
- 同梱・回遊・メルマガ等でリピート設計(食品はLTVが効く)
よくある失敗(先に潰しておく)
- 順位チェックだけして終わる:順位は結果。原因は「条件」と「売れ方」にある
- 単品最安で消耗:相乗り単品で最安戦は体力勝負になりがち
- 広告を全SKUに薄くかける:勝てる商品(セット・利益商品)に集中が基本
- 到着3日を隠す:隠すほどクレーム・低評価リスクが上がり、長期的に不利
まとめ アクセス減は「入口の再設計」で戻せる
食品×同一JAN相乗りでアクセスが落ちた場合、やるべきことは明確です。
- まず表示回数とクリック数で「露出減」か「CTR低下」か切り分ける
- 送料・納期の見え方を改善し、同一JAN土俵でのクリック負けを止める
- セット化・用途別・ギフトでJAN比較から外れる検索面を作り、入口を増やす
- RPPは少額・限定で導入し、露出回復を加速する
- イベントは「集客用」と「利益用」を分けて設計する