Windows 11 対応CPU完全ガイド
システム要件から確認方法まで、Windows 11へのアップグレードに必要な情報を網羅的に解説します
基本要件
Windows 11を実行するためには、単にクロック速度やコア数を満たすだけでは不十分です。以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 64ビットの互換CPUまたは SoC
- 1GHz以上のクロック速度
- 2コア以上
- Microsoftの承認CPUリストに掲載されていること(これが最も重要)
GHzやコア数を満たすだけでは不足で、承認リスト掲載が必須条件となっています。Microsoft Support 公式情報
セキュリティ関連の必須要件
CPU要件とは別に、以下のセキュリティ機能も必須となります。
- UEFI(Secure Boot対応)
- TPM 2.0(Trusted Platform Module)
これらはCPU要件とは独立した項目ですが、Windows 11アップグレード全体の必須条件として位置づけられています。Microsoft Learn 詳細
Intel
対応世代: 第8世代Core以降が基本対象
Windows 11 バージョン24H2の公式対応リストは、2025年2月27日の更新で第8/第9/第10世代Coreも含むことが編集注記で明確化されています。ただし、ページの更新に伴い内容が変動する可能性があるため、導入前には必ず公式ページで最新情報を確認することをお勧めします。
世代横断の包括リストも用意されており、掲載CPUは「セキュリティ・信頼性・最小要件」を満たした世代の最低ライン以降という扱いとなっています。Intel対応リスト(24H2)
AMD
対応シリーズ: Ryzen 2000番台以降
AMD Ryzenシリーズでは、概ね2000番台以降が対応の起点となっています。具体的には、Ryzen 3 2300X、Ryzen 5 2600、Ryzen 7 2700などが掲載されています。また、Threadripper PROシリーズやモバイル向け、Embedded系まで幅広く対応しています。
24H2版のAMD対応リストも公開されており、Athlon、EPYC、Ryzen(3/5/7/9/PRO)、Threadripper PRO、Embeddedまで広範囲にカバーされています。AMD対応リスト(24H2)
Qualcomm(Arm)
対応プロセッサ: Snapdragon 8cx以降
従来のSnapdragon 7c/8c/8cx、Microsoft SQ1/SQ2/SQ3に加え、24H2では最新のSnapdragon X Elite/Plus系列も正式に含まれるようになりました。
Arm機は機種やドライバの適合性の影響を受けやすい特性があるため、原則として個別の型番で対応状況を確認することが重要です。Qualcomm対応リスト(24H2)
SSE4.2命令の必須化について
Windows 11 バージョン24H2(ビルド26080以降)では、CPUのSSE4.2命令セットのサポートが必須要件として追加されたと報じられています。SSE4.2に対応していない古いCPUでは、OSが起動しなくなります。
ただし、Windows 11の承認対象に含まれている近年のCPUの大多数は、すでにSSE4.2を実装しているため、正規の対応機では実質的に影響が生じにくい要件となっています。この変更は、主に改造手法を用いて旧世代CPUでWindows 11を動作させようとする試みに対するブロック強化の側面が強いと技術系メディアで解説されています。
総合ハブ
Windows 11 全般(世代横断の一覧)
Windows 11 バージョン 24H2 向け
方法A: PC Health Check(推奨)
最も簡単で確実な方法です。Windowsの検索バーで「PC Health Check」と入力してアプリを起動し、「今すぐチェック」ボタンをクリックするだけで、CPU要件を含むすべてのハードウェア条件を一括で判定できます。
この方法では、CPU、メモリ、ストレージ、TPM、Secure Bootなど、Windows 11に必要なすべての要素を自動的にチェックし、アップグレード可否を明確に表示してくれます。Microsoft Support 詳細ガイド
方法B: CPUリストで型番確認
より詳細に確認したい場合は、以下の手順で進めます。
- 設定アプリを開く
- システム → バージョン情報に移動
- 「デバイスの仕様」セクションでプロセッサの型番を確認
- 上記の公式「対応CPU一覧」ページ(Intel/AMD/Qualcomm、必要に応じて24H2版)で、自分のCPU型番が掲載されているかを照合
この方法では、自分のCPUが正式にサポートされているかどうかを直接確認できます。
Windows 10 から Windows 11 への直接アップグレードの前提条件
Windows 10からWindows 11へ直接アップグレードする場合は、以下の条件も満たす必要があります。
- Windows 10 バージョン 2004以降を使用していること
- 2021年9月14日以降のセキュリティ更新プログラムを適用済みであること
- その他のハードウェア要件(CPU、TPM、Secure Boot等)もすべて満たしていること
AI導入アドバイザーからの運用ヒント
長年ITコンサルタントとして企業のシステム導入に携わってきた経験から、Windows 11へのアップグレードを検討される際の実務的なアドバイスをいくつかお伝えします。
導入前の確認ポイント
- ハードウェアインベントリの作成: 組織内のすべてのPCについて、CPU型番、TPM/Secure Bootの有効化状況を事前に調査し、一覧表を作成しておくことをお勧めします
- 段階的な移行計画: 全社一斉のアップグレードではなく、部門ごとやテスト環境から段階的に展開することで、予期せぬ問題に柔軟に対応できます
- アプリケーション互換性テスト: 業務で使用している重要なアプリケーションが Windows 11 で正常に動作するか、事前にテスト環境で確認しましょう
- ユーザー教育: UIの変更点や新機能について、事前にユーザー向けのトレーニング資料を準備しておくとスムーズです
タイミングの考え方
Windows 10のサポート終了は2025年10月14日に予定されています。余裕を持った移行スケジュールを立てることで、トラブル発生時にも十分な対応時間を確保できます。特に、24H2のような大型アップデートの直後は、初期の不具合が報告されることもあるため、少し様子を見てから導入するという選択肢も検討に値します。
セキュリティの観点
Windows 11では、TPM 2.0とSecure Bootが必須となっており、これらはゼロトラストセキュリティの基盤となる重要な要素です。単なるOS要件として捉えるのではなく、組織全体のセキュリティ態勢を強化する機会として前向きに活用することをお勧めします。
予算と投資の考え方
- ハードウェア更新の検討: 対応外CPUを搭載したPCについては、Windows 11対応機への買い替えを計画的に進める必要があります。リース契約の更新時期と合わせて検討すると効率的です
- 延長サポートの活用: すぐに移行できない場合は、Microsoftが提供する可能性のある延長サポートプログラムの情報も注視しておくことをお勧めします
- クラウドサービスの検討: 一部の業務については、Windows 365などのクラウドベースのソリューションを活用することで、ハードウェア投資を抑えられる可能性があります
移行後のサポート体制
Windows 11への移行後は、ユーザーからの問い合わせが増加することが予想されます。社内のヘルプデスク体制を強化し、よくある質問(FAQ)を事前に準備しておくことで、スムーズな移行を実現できます。また、主要な業務アプリケーションについては、ベンダーとの連携を密にし、トラブル発生時の迅速な対応体制を整えておくことが重要です。