sfc /scannow と DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth の意味と違い
この2つのコマンドは、Windowsシステムの修復に使用されますが、役割と修復する対象が異なります。
SFC /scannow(システムファイルチェッカー)
意味と役割
SFCは「System File Checker(システムファイルチェッカー)」の略称です。
sfc /scannow
このコマンドは、Windowsの保護されたシステムファイルをスキャンし、破損や変更されたファイルを検出して修復します。
具体的な動作
- システムファイルをスキャン:Windows内の重要なシステムファイルを一つ一つチェック
- 破損ファイルを発見:本来のファイルと異なる場合に検出
- キャッシュから復元:Windows内に保存されている正常なコピー(キャッシュ)から置き換える
修復対象
- 個々のシステムファイル(.dll、.exe など)
- 破損したWindowsコンポーネント
- 不正に変更されたシステムファイル
実行時間
約15分~30分程度
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
意味と役割
DISMは「Deployment Image Servicing and Management(展開イメージのサービスと管理)」の略称です。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
このコマンドは、Windowsシステムイメージ全体を修復します。SFCよりも深いレベルで修復を行う上位のツールです。
各パラメータの意味
- /Online:現在稼働中のWindowsシステムを対象にする
- /Cleanup-Image:システムイメージのクリーンアップ・修復を行う
- /RestoreHealth:破損したファイルをWindows Updateから取得して修復する
具体的な動作
- システムイメージの整合性をチェック:Windowsの基盤となる構成情報を検証
- Windows Updateに接続:破損したファイルの正常なバージョンをダウンロード
- システムイメージを修復:SFCが参照するデータベース自体を修復
修復対象
- Windowsシステムイメージ全体の構成情報
- SFCが使用する参照データベース
- Windows Updateのコンポーネント
- システムの根幹部分の破損
実行時間
約30分~1時間以上(ネットワーク速度にも依存)
🔄 2つのコマンドの関係性
【階層構造】
DISM(上位) → Windowsシステムイメージ全体を修復
↓
↓ SFCが参照するデータベースも修復
↓
SFC(下位) → 個々のシステムファイルを修復
重要なポイント
- DISMはSFCの土台を修復する
- SFCが正常なファイルを参照するためのデータベースが破損している場合、SFCだけでは修復できません
- DISMがそのデータベース自体を修復します
- 推奨される実行順序
① DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth (先に実行) ↓ ② sfc /scannow (後から実行) - なぜこの順番なのか
- まずDISMでシステムの土台を修復
- その後、SFCで個々のファイルを修復
- 逆の順番だと、SFCが正しく機能しない可能性がある
- 実務上はこの順序でも試せます
状況 推奨される順番 理由 軽度のエラー SFC → DISM → SFC まずSFCで試し、ダメならDISM 重度のエラー DISM → SFC 最初から土台を修復 Windows Update失敗 DISM → SFC Update関連はDISMが効果的 初めてのトラブル SFC → DISM → SFC 段階的に対応
比較表
| 項目 | SFC /scannow | DISM /RestoreHealth |
|---|---|---|
| 修復レベル | ファイルレベル | システムイメージレベル |
| 修復対象 | 個々のシステムファイル | Windowsイメージ全体 |
| データ取得元 | ローカルキャッシュ | Windows Update(オンライン) |
| 実行時間 | 15~30分 | 30分~1時間以上 |
| ネット接続 | 不要 | 必須 |
| 修復能力 | 中程度 | 強力 |
| 実行順序 | 2番目 | 1番目(先に実行) |
実際の使い分け例
ケース1:軽度のシステムエラー
→ SFCだけで十分な場合が多い
ケース2:SFCで「修復できませんでした」と表示
① DISM実行(システムイメージを修復)
② 再度SFC実行(個々のファイルを修復)
ケース3:Windows Updateが繰り返し失敗
→ DISMが最適(Update関連のシステムイメージを修復)
ケース4:システムが不安定・頻繁にエラー
① DISM実行
② SFC実行
③ 両方実行して徹底的に修復
IT導入アドバイザーからの補足
企業環境でこれらのコマンドを使用する際の注意点:
- バックアップの重要性
- 修復コマンド実行前に、必ず重要データのバックアップを取得してください
- ネットワーク環境の確保
- DISMはWindows Updateからファイルをダウンロードするため、安定したインターネット接続が必須です
- 実行タイミング
- 業務時間外に実行することを推奨します(完了まで時間がかかる場合がある)
- 根本原因の特定
- 繰り返しエラーが発生する場合は、ハードウェア障害の可能性も考慮してください
- HDDやSSDの物理的な故障では、これらのコマンドでは解決できません
- ログの確認
- 修復後は必ずイベントビューアーでログを確認し、完全に修復されたか検証してください
このように、DISMは建物の基礎を修復し、SFCは個々の部屋を修復するイメージです。両方を適切な順序で実行することで、Windowsシステムを徹底的に修復できます。