
「Officeは今も普通に使えているし、わざわざ最新版にしなくてもいいのでは?」と思う方は少なくありません。Microsoft Officeは使えることと安全に使い続けられることが別です。特にサポートが終了したバージョンは、セキュリティ更新・不具合修正・技術サポートが止まるため、業務利用では見過ごせないリスクになります。実際に訪問先でサポートが終了になっているが使用しているケースは結構あります。
この記事でわかること
- 古いOfficeを使い続けると何が危険なのか
- Office 2019・2021・2024のサポート終了時期
- 「マクロを使わなければ安全」という考えが危ない理由
- 今後のおすすめ移行先
目次
- なぜMicrosoft Officeは最新版にしないといけないのか
- Office 2019以降のサポート終了時期
- サポート終了後に起こる3つの問題
- 「マクロを使わなければ大丈夫」は本当か
- 最新版への移行先は何がいいのか
- まとめ
なぜMicrosoft Officeは最新版にしないといけないのか
結論から言うと、Microsoft Officeを最新版にしないといけない最大の理由は、サポートが切れたOfficeには新しい脆弱性への修正が提供されなくなるからです。Microsoftはサポート終了後のOfficeについて、セキュリティ更新、バグ修正、技術サポートを提供しないと明記しています。アプリ自体は起動しても、見えない部分でリスクが積み上がっていくのが問題です。
出典: Microsoft Support(Office 2016 / 2019のサポート終了) / Microsoft Support(Office 2021のサポート終了)
ポイント
「今も開ける・使える」=「安全」ではありません。
古いOfficeは動作していても、修正されない脆弱性を抱えたまま使い続けることになります。
Office 2019以降のサポート終了時期
まず押さえておきたいのが、Officeの永続版はずっと安全に使えるわけではないという点です。特にOffice 2021以降は延長サポートがなく、発売から約5年で完全終了という短いサイクルになっています。
出典: Microsoft Learn(Office 2019) / Microsoft Learn(Office 2021) / Microsoft Learn(Office 2024)
| バージョン | 発売時期 | メインストリームサポート終了 | 延長サポート終了 | 2026年7月時点の状況 |
|---|---|---|---|---|
| Office 2019 | 2018年 | 2023年10月10日 | 2025年10月14日 | 終了済み |
| Office 2021 | 2021年 | 2026年10月13日 | 延長なし | 終了まで残りわずか |
| Office 2024 | 2024年 | 2029年10月9日 | 延長なし | サポート中 |
特に注意したいのはOffice 2021です。まだ比較的新しい印象がありますが、サポート終了日は2026年10月13日で、延長サポートも延長セキュリティ更新もありません。つまり、気づいたときには「もうすぐ終わる」ではなく「もう終わる」という状態になりやすい製品です。
出典: Microsoft Support(Office 2021のサポート終了) / Microsoft Learn(Office 2021ライフサイクル)
サポート終了後に起こる3つの問題
1. セキュリティ更新が止まる
最も大きいのはこれです。サポートが終わったOfficeには、後から見つかった脆弱性に対するセキュリティ修正が提供されません。Microsoftも、Office 2019やOffice 2021のサポート終了後は、脆弱性に対するセキュリティ修正を行わないと案内しています。
出典: Microsoft Support(Office 2016 / 2019) / Microsoft Support(Office 2021)
2. 不具合修正や技術サポートも受けられない
セキュリティだけでなく、バグ修正や問い合わせ対応も終了します。社内や取引先でトラブルが起きたときに、メーカー公式の支援を受けられない状態は、業務継続の観点でも不利です。特に企業や個人事業で使うOfficeは、「まだ動くか」より「問題が起きたときに守られているか」が重要です。
出典: Microsoft Learn(2025年10月14日サポート終了製品案内)
3. 取引先や社内の信用問題につながる
古いOfficeを使っていること自体が、情報管理の甘さとして見られることがあります。特にクライアントワークでは、見積書、請求書、提案書、契約関連ファイルなどをOfficeで扱う場面が多く、サポート終了製品を使い続けることは、万一の事故が起きたときの説明責任にも直結します。
注意
サポート終了後のOfficeは、「壊れたら自己責任」ではなく、「脆弱性が見つかっても修正されないまま使う」状態になります。業務用途では軽視しない方が安全です。
「マクロを使わなければ大丈夫」は本当か
これは半分正しく、半分危険です。たしかにOfficeはサーバー製品のように外部から直接侵入されて中身を書き換えられる性質のものではありません。しかし実際の攻撃は、ネットワーク越しの直接侵入ではなく、悪意ある文書ファイルを開かせることで成立するケースがあります。
過去にはMicrosoftが、Wordのようなアプリケーションを起点に任意コード実行につながる脆弱性としてCVE-2022-30190を公表し、更新プログラムの適用を推奨した事例もあります。つまり、マクロを明示的に使っていなくても、文書の処理や関連機能の脆弱性が攻撃に使われる可能性はゼロではありません。
出典: Microsoft MSRC(CVE-2022-30190案内)
だからこそ重要なのは、「マクロを使っていないから大丈夫」と考えることではなく、脆弱性が見つかったときに修正を受けられるOfficeを使うことです。サポート中のOfficeなら更新で対処できますが、サポート切れOfficeでは新しいセキュリティーホールが見つかっても放置されます。
出典: Microsoft Support(Office 2016 / 2019) / Microsoft Support(Office 2021)
最新版への移行先は何がいいのか
移行先としては、大きく分けてMicrosoft 365かOffice 2024の2択です。どちらがよいかは、更新の手間を減らしたいのか、買い切りで管理したいのかで変わります。
| 比較項目 | Microsoft 365 | Office 2024 |
|---|---|---|
| 課金方式 | サブスクリプション | 買い切り |
| 機能更新 | 継続的に追加 | 基本固定 |
| 更新運用 | 自動更新しやすい | 次回は再購入が必要 |
| サポート期限 | 継続利用中は最新状態を維持しやすい | 2029年10月9日まで |
長期的に見ると、更新忘れを防ぎやすいのはMicrosoft 365です。Microsoft 365 Appsは、更新がリリースされるたびに新しいビルドが提供され、更新チャネルによって定期的にアップデートされます。Monthly Enterprise Channelでは、必要に応じて毎月第2火曜日にセキュリティ更新が提供され、しかも累積型です。
出典: Microsoft Learn(Microsoft 365 Appsの更新プロセス) / Microsoft Learn(更新チャネル)
一方で、買い切りが良い場合はOffice 2024も候補になります。ただし、Office 2024も永久サポートではなく、2029年10月9日でサポート終了です。今だけでなく、次の更新タイミングまで見据えて選ぶことが大切です。
出典: Microsoft Learn(Office 2024ライフサイクル)
こんな人は特に早めの更新がおすすめ
- Office 2019をまだ使っている人
- Office 2021を使っていて、しばらく買い替え予定がない人
- 請求書・見積書・提案書などをメール添付でやり取りする人
- クライアントワークや社内業務でOfficeを日常的に使う人
- 「とりあえず今動くから大丈夫」と考えがちな人
まとめ
Microsoft Officeを最新版にしないといけない理由は、単に新機能が欲しいからではありません。サポート終了後はセキュリティ更新が止まり、脆弱性が見つかっても修正されず、業務リスクが高まるからです。
特に2026年7月時点では、Office 2019はすでに終了済み、Office 2021も終了目前です。今後も安心して使いたいなら、Microsoft 365またはOffice 2024への移行を早めに検討した方がよいでしょう。
出典: Microsoft Learn(Office 2019) / Microsoft Learn(Office 2021) / Microsoft Learn(Office 2024)
結論をひとことで言うと
Officeは「使えるうちは使う」ではなく、「安全に使えるうちに更新する」ことが大切です。