「IT導入補助金を使ってECサイトを作りたい」
「Shopifyやmakeshopの導入費用は補助対象になる?」
このような疑問を持っている事業者は少なくありません。
しかし、2026年度からIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変更され、ECサイト構築に関する取扱いも以前とは異なっています。
この記事の結論
2026年9月2日時点では、ECサイトの新規制作・デザイン・コーディングなどを目的として利用できるシステムは、確認できませんでした。
ただし、ECサイトと連携する受注管理、在庫管理、販売管理、CRM、会計連携などの業務用ソフトウェアは、補助対象になる可能性があります。
この記事では、Shopify、makeshop、カラーミーショップ、BASE、STORES、EC-CUBEなど、主要なECシステムについて調査した結果を紹介します。
2026年のIT導入補助金でECサイトは構築できる?
結論からいうと、ECサイトの新規制作やリニューアルそのものを目的として、デジタル化・AI導入補助金を利用することは難しいと考えられます。
具体的には、次のような費用は原則として補助対象になりません。
- ECサイトの新規制作費
- 既存ECサイトのリニューアル費
- デザイン制作費
- HTML・CSSなどのコーディング費
- 商品ページやランディングページの制作費
- 顧客ごとの要望に合わせた追加開発費
- バナーや画像などのコンテンツ制作費
- 商品写真の撮影費
- 記事や商品説明文の作成費
- SEO対策費
- Web広告やSNS広告の運用費
- 楽天市場やAmazonなどの出店費用
重要なポイント
ShopifyやmakeshopなどのECプラットフォームを利用する場合でも、ECサイトのデザイン・制作・カスタマイズ費用まで自動的に補助対象になるわけではありません。
補助対象になるのは、原則として事務局に登録されたITツールと、それに付随する登録済みの導入支援費用です。
IT導入補助金から「デジタル化・AI導入補助金」へ変更
2025年度まで一般的に「IT導入補助金」と呼ばれていた制度は、2026年度からデジタル化・AI導入補助金として実施されています。
この補助金は、中小企業や小規模事業者が、生産性向上や業務効率化につながるITツールを導入する際に、費用の一部を補助する制度です。
重要なのは、単にホームページやECサイトを作ることではなく、導入するソフトウェアによって次のような効果が見込まれることです。
- 受注処理を効率化する
- 在庫管理を自動化する
- 販売情報を一元管理する
- 請求・会計業務を効率化する
- 顧客対応を改善する
- データ分析によって経営判断を支援する
そのため、広告・宣伝を目的とするWebサイト制作よりも、社内業務を効率化する完成済みの業務用ソフトウェアが中心となっています。
ECサイト構築で対象外になりやすい費用
ECサイトのデザイン・コーディング費
ECサイトの外観を整えるデザイン、HTML・CSS・JavaScriptなどのコーディング、ページレイアウトの制作は、サイト制作費に該当します。
これらは業務用ソフトウェアの導入費用ではなく、Webサイト制作やコンテンツ制作に近いため、原則として補助対象外です。
顧客ごとの追加開発・カスタマイズ費
公式のITツール登録要領では、ホームページ、Webサイト、Webアプリ、スマートフォンアプリなどの制作ツールにおいて、顧客の要件に合わせた追加開発費が含まれるものは対象外とされています。
例えば、次のような作業です。
- 独自の購入フローを開発する
- オリジナルの会員機能を追加する
- 特注のポイントシステムを開発する
- 顧客専用の管理画面を開発する
- 既存ECシステムに独自機能を追加する
すでに完成して一般販売されているソフトウェアと、顧客専用の追加開発は、別々に判断する必要があります。
商品ページ・LP・バナーの制作費
商品ページ、特集ページ、ランディングページ、バナー、商品画像などは、コンテンツ制作や広告宣伝に該当する可能性が高く、補助対象になりません。
広告・SEO・集客支援費
Google広告、Yahoo!広告、SNS広告、SEOコンサルティング、SNS運用、インフルエンサー施策なども、ITツール導入費ではなく広告宣伝費に該当します。
主要ECシステムの調査結果一覧
主要なECサイト構築サービスについて、2026年の制度における取扱いを整理すると、次のようになります。
| システム名 | ECサイト制作費 | システム利用料 |
|---|---|---|
| Shopify | 原則対象外 | 登録されたプランがあれば可能性あり |
| makeshop | 原則対象外 | 2026年度の個別登録確認が必要 |
| カラーミーショップ | 原則対象外 | 2026年度の個別登録確認が必要 |
| futureshop | 原則対象外 | 2026年度の個別登録確認が必要 |
| STORES ネットショップ | 原則対象外 | EC機能とPOS機能を分けて確認 |
| BASE | 原則対象外 | 無料プランは補助対象経費なし |
| EC-CUBE | 開発・制作は対象外 | 登録済みパッケージ部分は可能性あり |
| ecforce | 原則対象外 | 受発注・顧客管理機能は個別確認 |
| ebisumart | 原則対象外 | 登録ツール・プランの確認が必要 |
| ecbeing | 原則対象外 | 登録ツール・プランの確認が必要 |
| W2 Unified/W2 Repeat | 原則対象外 | 登録ツール・プランの確認が必要 |
| aiship | 原則対象外 | 登録ツール・プランの確認が必要 |
| Bカート | サイト制作は対象外 | BtoB受発注システムとして可能性あり |
| 楽楽B2B/楽楽リピート | サイト制作は対象外 | 受発注・販売管理部分は個別確認 |
| ショップサーブ | 原則対象外 | 2026年度の個別登録確認が必要 |
| WooCommerce | 構築・開発は対象外 | 登録済み有料パッケージのみ可能性あり |
| Welcart | 構築・開発は対象外 | 登録済みパッケージのみ可能性あり |
| Adobe Commerce | 構築・開発は対象外 | 登録済みライセンス部分は可能性あり |
| Salesforce Commerce Cloud | 構築・開発は対象外 | 登録済みライセンス部分は可能性あり |
上表の「対象外」は、システム自体が永久に補助対象外という意味ではありません。
そのシステムを使ったECサイト制作・デザイン・個別開発費が、原則として対象外という意味です。
ShopifyはIT導入補助金の対象になる?
Shopifyを導入するだけで、自動的に補助金を利用できるわけではありません。
補助対象になるためには、少なくとも次の条件を満たす必要があります。
- 2026年度の公式ITツールとして登録されていること
- 登録された料金プランであること
- 登録を行ったIT導入支援事業者から導入すること
- ECサイト制作費とソフトウェア利用料が区別されていること
- 交付決定前に契約・発注・支払いを行わないこと
Shopify本体が世界的に利用されているECサービスであっても、非登録の制作会社に依頼した場合や、対象外の制作費が含まれている場合は補助されません。
以下は対象サービスの一部の例です。

makeshopやカラーミーショップは対象になる?
makeshopやカラーミーショップについても、考え方はShopifyと同じです。
運営会社がIT導入支援事業者として登録されているかどうかだけでなく、次の3点を確認しなければなりません。
- 利用したい製品・プランが2026年度のITツールとして登録されているか
- そのツールを販売するIT導入支援事業者はどこか
- 見積金額にECサイト制作費や追加開発費が含まれていないか
会社の登録と製品の登録は別です
企業がIT導入支援事業者として登録されていても、その企業が販売するすべての製品・サービスが補助対象になるわけではありません。
製品名、料金プラン、ITツール番号、販売事業者の組み合わせを確認してください。
EC関連で補助対象になる可能性があるシステム
ECサイトそのものの制作が難しくても、EC事業に必要な業務用ソフトウェアは補助対象になる可能性があります。
受注管理システム
複数のECモールや自社ECサイトから入る注文を一元管理するシステムです。
- 注文情報の自動取得
- 受注ステータスの管理
- 注文確認メールの自動送信
- 出荷指示データの作成
- キャンセル・返品管理
在庫管理・倉庫管理システム
自社ECサイト、実店舗、楽天市場、Amazonなどの在庫情報を一元管理し、売り越しや欠品を防止します。
- 在庫数の自動更新
- 複数店舗間の在庫連携
- 入出庫管理
- 棚卸し管理
- 発注点管理
販売管理システム
受注から売上、請求、入金、仕入れまでの流れを一元管理するソフトウェアです。
単なるECサイト制作よりも、業務効率化や生産性向上の効果を説明しやすい分野です。
顧客管理・CRM
購入履歴、問い合わせ履歴、顧客属性などを管理し、リピート購入や顧客対応の改善につなげます。
ただし、メール配信や広告配信だけの単機能ツールではなく、幅広い業務プロセスをカバーしていることが重要です。
会計・請求・インボイス対応システム
ECサイトの売上データを会計ソフトへ連携したり、請求書や適格請求書を発行したりするシステムも対象になる可能性があります。
AI需要予測・データ分析システム
過去の販売データを分析し、商品の需要予測や在庫最適化を行うAIツールも検討できます。
ただし、「AIを搭載している」という理由だけで補助対象になるわけではなく、公式ITツールとしての登録が必要です。
補助対象になり得る費用
EC関連の業務用ソフトウェアが登録されている場合、次の費用が対象になる可能性があります。
- ソフトウェア購入費
- クラウドサービス利用料
- 導入設定費
- 初期設定費
- データ移行費
- 操作研修費
- 保守・サポート費
- 登録済み機能拡張費
- 登録済みデータ連携ツール費
クラウド利用料は、申請枠や登録内容によって最大2年分が対象になる場合があります。
ただし、同じサービスであっても、登録されていないオプションや追加開発は対象になりません。
申請前に確認する7つのポイント
- 公式ITツール検索に掲載されているか
- 2026年度の登録か
- ITツール番号が発行されているか
- 利用したい料金プランが登録されているか
- 販売会社がIT導入支援事業者か
- 見積書に対象外費用が混在していないか
- 交付決定前に契約・発注・支払いをしていないか
契約時期に注意
原則として、交付決定前に契約、発注、導入、支払いを行った費用は補助対象になりません。
補助金を利用する場合は、必ずIT導入支援事業者と申請手順を確認してから契約してください。
ネット上の「ECサイトも補助対象」という記事に注意
インターネット上には、Shopify、makeshop、BASE、STORESなどを「2026年度の補助対象ツール」と断定している記事があります。
しかし、一部の記事には、過去の制度内容がそのまま掲載されています。
- デジタル化基盤導入枠
- A類型・B類型
- ECサイト制作費の3分の2補助
- 越境ECで加点されるという説明
- 特定サービスが自動的に対象になるという説明
これらの情報は、2026年度の公式制度と一致しない場合があります。
補助対象かどうかは、ブログ記事や制作会社の広告だけで判断せず、必ず公式ITツール検索で確認してください。
ECサイト構築に補助金を使いたい場合の代替案
ECサイトのデザイン・制作を主な目的とする場合、デジタル化・AI導入補助金よりも、販路開拓を支援する別の補助金が適している可能性があります。
代表的な候補として、次の制度が考えられます。
- 小規模事業者持続化補助金
- 地方自治体のホームページ・ECサイト制作補助金
- 創業支援補助金
- 販路開拓支援事業
- 越境EC支援事業
ただし、制度によってWebサイト関連費の上限や経費区分が異なります。
また、補助金は原則として後払いであり、採択されても対象経費の全額が補助されるわけではありません。
よくある質問
Q1.IT導入補助金でShopifyのECサイトを作れますか?
ECサイトのデザインや制作、テーマカスタマイズ、独自機能開発などは原則として対象外です。
Shopifyの利用料については、2026年度の公式ITツールとして登録されたプランを、登録したIT導入支援事業者から導入する場合に限り、対象になる可能性があります。
下記のようなバックオフイスシステムで登録されているものは、対象となります。

Q2.既存ECサイトのリニューアルは対象ですか?
デザイン変更やページ制作を中心としたリニューアルは、原則として対象外です。
一方で、受注管理、在庫管理、販売管理などの登録済み業務システムを導入する場合は、そのシステム部分が対象になる可能性があります。
Q3.EC-CUBEの開発費は対象ですか?
顧客専用の追加開発やカスタマイズ費は、原則として対象外です。
すでに完成して一般販売されている登録済みパッケージやライセンスについては、個別に確認する必要があります。
Q4.楽天市場やAmazonへの出店費用は対象ですか?
モールへの出店料、販売手数料、商品ページ制作費、広告費などは、原則として対象外です。
Q5.IT導入支援事業者に依頼すれば必ず対象になりますか?
いいえ。IT導入支援事業者が販売しているサービスでも、公式に登録されていない製品・プラン・オプションは対象になりません。
Q6.無料のECサービスは補助対象になりますか?
無料プランには補助対象となる支出がないため、基本的に補助金の対象にはなりません。有料オプションについても、公式ITツールとして登録されている必要があります。
Q7.ECサイト構築に使える補助金はほかにありますか?
小規模事業者持続化補助金や、自治体独自の販路開拓・ECサイト制作支援制度が利用できる可能性があります。
ただし、募集時期、対象経費、補助率、Webサイト関連費の上限を必ず確認してください。
公式情報・参考資料
まとめ
2026年9月2日時点で調査した結果、ECサイトの新規制作、デザイン、コーディング、個別開発などを目的として利用できるシステムは確認できませんでした。
調査結果のまとめ
- ECサイトの新規制作費は原則対象外
- デザインやコーディング費も原則対象外
- 顧客ごとの追加開発費は対象外
- Shopifyなどの名称だけでは対象と判断できない
- 製品・プラン・販売事業者ごとの登録確認が必要
- 受注・在庫・販売・顧客・会計管理は対象になる可能性がある
- 申請前に公式ITツール検索で最新情報を確認する
したがって、「ECサイトを作るための補助金」として考えるのではなく、EC運営の受注・在庫・販売・顧客管理を効率化するための補助金として検討するのが適切です。
なお、公式のITツール一覧は随時更新されます。実際に申請する際は、公式検索で最新の登録状況を確認し、IT導入支援事業者から対象範囲を書面で提示してもらいましょう。
※本記事は2026年9月2日時点の公開情報をもとに作成しています。補助対象や審査結果を保証するものではありません。制度内容やITツールの登録状況は変更される可能性があります。