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IPAのサイバーセキュリティお助け隊サービス|中国地方で利用できる28事業者

サイバーセキュリティーお助け隊

本稿は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が推進する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を、中国地方(広島県・岡山県・山口県・島根県・鳥取県)の中小企業の視点から整理し、各サービスの技術的特徴・運用体制・コストを比較・検証したものです。記事末尾には、中国地方で利用可能な全28事業者の比較一覧を掲載しています。内容が古くなっている場合もあるので、最新の内容は各事業者へお問い合わせ下さい。

要旨

サイバー攻撃は高度化・巧妙化を続け、なかでもサプライチェーンを狙った攻撃は、地域経済を支える中小企業にとって存続に関わる経営リスクとなっています。自動車・造船・鉄鋼・石油化学といった重工業が集積する中国地方において、この対応は待ったなしです。本稿ではIPA登録サービスのうち中国地方で利用可能なものを抽出・分類し、技術的特徴、運用体制、コストパフォーマンスを比較検証します。さらに、私が中小企業に推奨する国産エンドポイント型サービス(PFU「PCセキュリティみまもりパック」)の位置づけと、規模に応じた選定の指針を提言します。


第1章 中国地方の産業構造とサイバーセキュリティの戦略的重要性

1.1 地域産業の特質とサプライチェーンリスク

中国地方、とりわけ瀬戸内海沿岸部は日本有数の重工業地帯です。広島県のマツダをはじめとする自動車産業、瀬戸内に連なる造船業、岡山県水島臨海工業地帯の石油化学・鉄鋼業など、日本のモノづくりを支える重要拠点が集積しています。

これらの産業の最大の特徴は、大企業を頂点とした多層的なサプライチェーン(供給網)の存在です。大企業の防御が堅固になるにつれ、攻撃者は防御の手薄な関連企業・取引先中小企業を狙う「サプライチェーン攻撃」へとシフトしています。中小企業の侵害は一企業の被害にとどまらず、生産ライン停止など地域経済全体に波及しかねません。本地域のセキュリティ対策は、単なる情報漏洩対策ではなく「事業継続計画(BCP)」そのものだと言えます。

1.2 中小企業が直面する「3つの壁」と制度的解決策

  1. 予算の壁:エンタープライズ向けの監視サービス(SOC)は高額で、中小企業の投資余力に見合わない。
  2. 人材の壁:専任のセキュリティ担当者を置ける中小企業は稀で、総務担当や経営者の兼務が大半。
  3. 知識の壁:「何から始めればよいか」「どの製品が自社に適すか」が分からない情報の非対称性。

これらを構造的に解決するため経済産業省とIPAが創設したのが「サイバーセキュリティお助け隊サービス」制度です。一定の基準(安価・簡便・安心)を満たした民間サービスを国が登録・公表し、中小企業が安心して選べる環境を整えることを目的としています。

1.3 制度の展望:1類と2類の分化

  • 1類(標準モデル):従来のコンセプトを継承し、ネットワーク監視型でおおむね月額1万円程度という価格要件を維持しつつ、最低限必要な防御・監視・保険をパッケージ化。数名〜数十名規模の事業者が主対象。
  • 2類(高度モデル):従業員規模が大きい中堅企業や、より機微な情報を扱う企業向けに新設。価格要件が緩和される一方、監視端末数の拡大、定期的なコンサルティング、より高度な異常検知能力が求められる。

第2章 技術的基盤とサービス構成要素

「お助け隊サービス」は単一製品ではなく、次の3機能が統合された「サービス」として定義されています。

2.1 見守り(常時監視)

2.1.1 UTM(統合脅威管理)によるネットワーク監視

  • 仕組み:社内ネットワークとインターネットの境界に専用機器を設置し、ファイアウォール、アンチウイルス、IPS(不正侵入検知・防御)、Webフィルタリング等を集約して通信を監視。
  • メリット:PC個々にソフトを入れずとも、複合機やIoT機器を含むネットワーク全体を保護できる。
  • 採用例:大阪商工会議所モデル(NEC「ZA-SA3500G/N」)、大塚商会(トレンドマイクロ/Fortinet)など。

2.1.2 端末監視(エンドポイント型)— 「EDR」と一括りにできない4タイプ

PCやサーバー(エンドポイント)に監視エージェントを導入する方式です。IPA上は「端末監視」とまとめられますが、実際の製品は機能の重点が異なり、契約前に見極めが必要です。本稿では次の4タイプに整理しました。

  • ① EDR(検知+対応):侵入後の不審な挙動を検知し、プロセス停止・端末隔離などの対応まで行う。多くはNGAV(防御)も内蔵。例:データお守り隊(SentinelOne)、スマートセキュリティお助け隊 for EDR(Microsoft Defender)、サイバープロテクションCP/TSOC(WithSecure)、セキュアエッジMDR99(Sophos)、SecurityFREEレスキュー隊・防検サイバー(S&J)。
  • ② NGAV(防御主体):パターンに依存せず、ふるまい等で感染を未然に防ぐことに重点。例:yaraiマネージド(FFRI yarai)。
  • ③ 防御特化(検知なし):検知を行わずOSを保護して不正動作を遮断。EDRとは設計思想が異なる。例:ITG AppGuard(AppGuard)。
  • ④ 検知特化(防御なし):ログを解析して検知・通知に特化し、ブロック(防御)は既存のウイルス対策ソフトに依存。例:SOMPO SHERIFF、PFU「PCセキュリティみまもりパック」(検知後はPFUのリモート駆除・エンジニア派遣で対処)。

つまり「端末監視型=何でも防げる」ではありません。自社が「防御」を重視するのか、「侵入後の検知・対応」を重視するのかで、選ぶべき製品が変わります。理想は両方を備える①のEDR、あるいは②+①の組み合わせです。

2.2 駆けつけ(インシデント対応支援)

  • リモート支援:電話・メール・遠隔操作で初動対応(端末隔離、ログ保全等)を指示・代行。
  • オンサイト(現場)支援:リモートで解決困難な場合に技術者が訪問。中国地方では「誰が来るか」という地理的要素が選定の鍵。

2.3 簡易サイバー保険(リスク転嫁)

技術対策ですべてのリスクをゼロにはできません。お助け隊サービスは、事後対応費用を補填する保険がパッケージに含まれており、通常のサイバー保険のような個別審査や高額な保険料なしに加入できる点が特徴です。補償対象は、駆けつけ等のインシデント対応費用や調査費用などです。但し、近年インシデント対応の費用は高額になっているので、必ず補償内容を確認下さい。


第3章 中国地方で利用可能なサービス:類型別詳細分析

3.1 【地域連携モデル】商工会議所サイバーセキュリティお助け隊サービス

最も地域に密着し、低価格で提供されているのが商工会議所が窓口となるモデルです。大阪商工会議所が開発・提供元(登録番号2020-001)となり、中国地方各地の商工会議所・商工会と連携して利用できます。

  • 監視機器:NEC製UTM「ZA-SA3500G/N」をネットワーク境界に設置し、不審通信を検知・遮断。
  • 保険引受:東京海上日動火災保険。
  • 駆けつけ:「お助け実働隊」と呼ばれる地域のIT事業者が初動対処を担い、その費用を保険が補償(1回あたり上限15万円・保険責任期間1年に2回まで/条件は毎年見直し)。都市部だけでなく地方部でも「顔の見える」迅速なサポートが可能。
  • UTM設置:原則お客様自身で設置(取扱説明書・電話相談あり)。自力設置が難しい場合は実働隊が16,500円(税込)で訪問設置支援。

価格:会員 月額6,000円/非会員 月額7,500円(いずれも税抜)。初期費用は原則なし。評価:同等のUTMレンタルと比べても破格で、「まず最低限の鍵をかけたい」「何かあれば地元業者に来てほしい」という小規模事業者に最有力の選択肢です。


3.2 【全国大手ベンダーモデル】包括的サポートと高度な分析

全国展開する大手SIerや事務機商社は、中国地方各県に拠点を持ち、豊富なリソースを背景にしたサービスを提供します。

3.2.1 株式会社大塚商会「たよれーる EasySOC」

  • EasySOC Plus2 for Cloud Edge(1類):トレンドマイクロ「Cloud Edge」UTMのログをSOCが分析。
  • EasySOC V for FortiGate(1類・2類):世界シェア上位のFortinet「FortiGate」を用い、2類では最大200台規模の監視に対応。
  • 優位性:一般的なUTMは大量のアラート(誤検知含む)を出すが、EasySOCは専門家がログを分析し「本当に対処が必要な脅威」だけを通知するため、担当者の「アラート疲れ」を防げる。広島・岡山等に拠点があり、オンサイト対応も充実。

3.2.2 富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(旧富士ゼロックス)「beat/solo 見守りサービス」

  • 技術的特徴:独自ゲートウェイ機器「beat-box」を使用。VPN・ファイアウォール機能を備え、設定が自動化されており「つなぐだけ」でセキュアな環境を構築。
  • 運用体制:複合機ビジネスで培った地域密着のメンテナンス網が強み。島嶼部・山間部でもエンジニアが巡回しており物理トラブル時の対応が速い。
  • 留意点:基本プラン(beat/solo)の監視対象は5台規模。台数が多い場合は2類プラン(端末保護をバンドルした多層防御)等の検討を。

3.2.3 株式会社アクシス「AXIS総合セキュリティパック」

  • 技術基盤:英国Sophos社の製品を採用。ランサムウェアに強く、暗号化されたファイルを自動でロールバック(復元)する技術を持つ。
  • ラインナップ:端末監視コース(初期0円/月額1,800円・税抜)はPCにエージェントを入れるだけで開始でき導入ハードルが低い。ネットワーク&端末監視コースはUTMとEDRを連携させる「XDR」的アプローチ。
  • 地域展開:広島県内など中国地方でも導入実績が豊富で、補助金活用にも積極的。

3.3 【専門特化・新興ベンダーモデル】コストパフォーマンスと先進技術

3.3.1 株式会社アクト「データお守り隊」

  • 採用技術:SentinelOne。AIを活用した自律型EDRで、ネットワーク非接続時もエージェント単体で検知・防御が機能。
  • コスト:初期0円/月額1,000円・台(税抜)。業界最安値水準で、高価なEDR導入を諦めていた中小企業に向く。
  • サポート:国内SOCがSentinelOneの運用を代行し、日本語レポートや隔離操作を支援。クラウド型のため中国地方のどこからでも利用可能。

3.3.2 株式会社ビープラス「スマートセキュリティ」

  • 技術特徴:台湾Lionic社の小型UTMを採用。手のひらサイズで設置スペースを取らず配線もシンプル。
  • コスト:初期200,000円/月額10,000円(税抜)。
  • ターゲット:機材を置くスペースが限られる小規模事務所・店舗に最適。

3.4 【地域SIerモデル】株式会社BCC「&セキュリティ+」

地場の有力システムインテグレーターによる、信頼性の高い併用型サービスです。

  • サービス内容:ネットワーク監視(NEC製UTM「ZA-SA3500G/N」)と端末監視(NECのActSecureマネージドセキュリティ)を組み合わせた「併用型」が強み。SOCが24時間365日ログを分析し、緊急時はリモートで不正アクセスをブロック。
  • 価格(IPA登録の正規価格):初期25,000円、月額は監視台数連動で7,400円(1台)/10,000円(5台)/14,500円(10台)(いずれも税抜)。※「端末監視単体で月額750円〜」という記述は他社(PFU)価格との混同であり、本サービスは上記の併用型価格です。

3.5 【推奨・国産エンドポイントモデル】株式会社PFU「PCセキュリティみまもりパック」

本稿が中小企業に特に推奨するのが、株式会社PFU(リコーグループ。業務用スキャナ「fiシリーズ」やScanSnap、HHKBで知られる国産メーカー)の「PCセキュリティみまもりパック」(IPA登録番号2020-003)です。全国一律対応で、中国地方でもクラウド経由で簡単に利用できます。

  • 技術基盤:PFUの「iNetSec」シリーズの技術を活用した端末監視型(検知エンジンの提供元は非公開)。既存のウイルス対策ソフトと併用する前提のサービス。
  • 機能:①既存のウイルス対策ソフトをすり抜けるマルウェアの常時監視・検知(毎日通知) ②OSや主要アプリ(Windows/Office/Acrobat Reader/Java等)のパッチ未適用を警告し、管理者へ週次レポート ③マルウェア検知時は危険度を分析し対処方法を通知 ④利用者自身で対処できない場合はPFUがリモート駆除を試み、必要に応じてエンジニアを派遣して駆除(全国対象。離島・一部地域を除く) ⑤損害保険ジャパンのサイバー保険を自動付帯(補償上限 年200万円)。なお、脅威を検知した瞬間に自動でプロセス停止・端末隔離を行うEDR型の「封じ込め」機能ではなく、検知後は人手(リモート/エンジニア派遣)で駆除する方式です。
  • コスト:初期0円/月額750円・台(税抜)。年間9,000円〜・台、PC10台でも年間約90,000円と、端末監視型では最安クラス(最安はSOMPO SHERIFFの月額500円/台)。

推奨理由:「検知+人による駆除支援(リモート対応+エンジニア派遣)」が低価格で一体化している点が、専任担当者を置けない中小企業に最適だからです。感染しても“丸投げ”できる手厚さに加え、国産メーカーの安心感と全国一律サポートを備えます。UTMが不要でPCにインストールするだけのため、テレワークPCもそのまま保護できます。

中国地方での活かし方:商工会議所モデル(NEC製UTMによるネットワーク監視)と、このPFU(端末監視)を組み合わせれば、「ネットワーク+端末」の多層防御を月額1万円台から構築できます。地域密着の駆けつけ(商工会議所)と、端末側の防御・駆除支援(PFU)を両取りできるのが、中国地方の中小企業にとって現実的な最適解の一つです。


第4章 主なサービス仕様比較一覧(中国地方版)

IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のうち、中国地方で利用可能な28事業者を監視方式別に整理しました。価格はいずれも税抜で、IPA掲載の標準プランに基づく目安です。設置作業費・訪問費が別途見積りとなる事業者が多いため、実額は契約前に各社の最新情報でご確認ください。

端末監視型(PCにエージェント導入/EDR・NGAV系)

事業者/サービス(タイプ・監視製品)初期費用月額目安PC10台/年(目安)保険会社
PFU/PCセキュリティみまもりパック
検知+駆除支援(iNetSec技術・エンジン非公開)※既存AV併用前提・自動隔離なし
0750/台90,000損保ジャパン
アクト/データお守り隊
EDR(SentinelOne)防御+検知+対応
01,000/台120,000東京海上日動
ソフトクリエイト/SecurityFREEレスキュー隊
EDR/MDR(S&J)検知+対応
01,000/台120,000あいおいニッセイ同和
ウェバートン/Managed EDR-セキュアパック
EDR(Pipeline)検知+対応
20,000~1,650/台218,000~東京海上日動
ブロードバンドセキュリティ/サイバープロテクション(CP)
EDR(WithSecure)防御+検知+対応
01,800/台216,000あいおいニッセイ同和
日本ビジネスシステムズ/スマートセキュリティお助け隊 for EDR
EDR(Microsoft Defender)防御+検知+対応
50,0001,949/台283,880あいおいニッセイ同和
MS&ADインターリスク総研/防検サイバー
EDR(S&J)検知+対応・防御モード可
01,200~/台(数量割引あり)144,000~(数量割引あり)三井住友海上
セキュアエッジ/MDR99
EDR/MDR(Sophos)防御+検知+対応
0990/台118,800損保ジャパン
三井物産セキュアディレクション/MGSP
端末+運用(MBSD)
96,0002,000/台336,000三井住友海上
AppGuardジャパン/ITG AppGuardお助け隊
防御特化(AppGuard・検知なし)
100,000~1,000/台220,000~損保ジャパン
NTTアドバンステクノロジ/yaraiマネージド
NGAV(FFRI yarai)防御主体
500,0002,000/台740,000三井住友海上
SOMPOリスクマネジメント/SOMPO SHERIFF
検知特化(防御なし・既存AV併用前提)
0500/台60,000損保ジャパン

ネットワーク監視型(UTMをゲートウェイに設置)

事業者/サービス(タイプ・監視製品)初期費用月額目安PC10台/年(目安)保険会社
NTT東日本/おまかせサイバーみまもりLight
UTM(トレンドマイクロ)
17,50011,00011,000X12=132,000 50台まで接続追加 0円東京海上日動
セントラル警備保障/CSPサイバーガード
UTM(NEC・物理警備連携)
09,800117,600  100台まで接続追加 0円東京海上日動
NTT西日本/セキュリティおまかせ(10台向け)
UTM(トレンドマイクロ)
17,50017,000204,000三井住友海上
大阪商工会議所/商工会議所お助け隊
UTM(NEC)
0会員 6,000/非会員 7,50072,000(会員)/90,000(非会員)東京海上日動
京セラドキュメント/TASKGUARD UTM CP
UTM(Check Point)
70,00010,000190,000東京海上日動
富士フイルムBI/beat/solo 見守り
UTM(富士フイルムBI・beat)※基本5台
40,00010,000160,000(基本5台/10台はbeat/solo15等で約317,200)東京海上日動
ビープラス/スマートセキュリティ
UTM(Lionic 小型)
200,00010,000320,000三井住友海上
ラディックス/ラディックスお助け隊
UTM(Sophos)※基本5台
10,000~10,000上位プラン要(Plus40台 約620,000/MDR併用 約1,306,800)東京海上日動
大塚商会/たよれーる EasySOC Plus2
UTM(トレンドマイクロ・SOC分析)
499,0006,050571,600三井住友海上

併用・複合型(UTM+端末を両建てで監視)

事業者/サービス(タイプ・監視製品)初期費用月額目安PC10台/年(目安)保険会社
コアネット/StoraSecure
複合 UTM+EDR(トレンドマイクロ)
80,000NW 7,000+端末 1,100/台296,000東京海上日動
バリオセキュア/セキュリティお助けパック
複合 UTM+EDR(バリオ+WithSecure)
80,000NW 9,800+端末 1,400/台365,600損保ジャパン
アクシス/AXIS総合セキュリティパック
併用 UTM+EDR(Sophos)
140,000NW 9,800+端末 1,800/台473,600三井住友海上
BCC/&セキュリティ+
併用 UTM+EDR(NEC)
25,0007,400(1台)/10,000(5台)/14,500(10台)199,000東京海上日動
日本通信機器/Security Net Keeper Plus
併用 UTM+EDR(トレンドマイクロ)
450,000NW 9,000+端末 500/台618,000三井住友海上
グローバル・リンク/G-セキュリティおまかせ
複合 UTM+EDR(トレンドマイクロ)
613,200~NW 9,000+端末 2,000/台961,200~東京海上日動
フォワード/フォワードセキュリティサポート
併用 UTM+EDR(サクサ)
670,000NW 8,000+端末 450/台820,000三井住友海上

【凡例・注記】価格は税抜。「PC10台/年(目安)」は、UTM型=初年度費用(初期+月額×12、機器1台で複数端末をカバー)、端末監視型=初期+月額単価×10台×12か月、併用型=初期+(NW月額+端末月額×10台)×12か月で算出。お助け隊サービスは制度上すべて簡易サイバー保険が付帯します。「★編集部推奨」はPFU。


第5章 補助金を活用して「お助け隊サービス」を導入する

「お助け隊サービス」はそれ自体が安価ですが、国の補助金を使えば自己負担をさらに抑えられます。中小企業のセキュリティ投資を後押しする制度が整っているため、導入前に必ず押さえておきたいポイントです。

5.1 国の本命:デジタル化・AI導入補助金「セキュリティ対策推進枠」

従来の「IT導入補助金」は、2026年度から制度・名称が「デジタル化・AI導入補助金」に変更されました(旧:IT導入補助金)。その中の「セキュリティ対策推進枠」は、まさにお助け隊サービスのための枠です。IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、かつ事務局に登録されたサービスの利用料が補助対象になります。

  • 補助対象:お助け隊サービスの利用料(最大2年分)。
  • 補助額:5万円〜150万円。
  • 補助率:1/2以内(小規模事業者は2/3以内)。
  • 背景:中規模向けの「2類」創設に合わせ、補助上限が従来の100万円から150万円へ引き上げられ、小規模事業者向けの2/3という補助率も追加されました。
項目内容
制度名デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)/セキュリティ対策推進枠
補助対象お助け隊サービスリスト掲載サービスの利用料(最大2年分)
補助額5万円〜150万円
補助率1/2以内(小規模事業者は2/3以内)
必須要件GビズIDプライム取得/SECURITY ACTION宣言/登録済みIT導入支援事業者を通じた申請
申請受付2026年3月下旬〜(公募回ごとに締切。最新は公式ポータルで確認)

たとえばPFU(月額750円/台)を10台導入すると年間約9万円、2年分で約18万円。これを補助対象として申請でき、小規模事業者なら最大2/3が補助されます。商工会議所モデル(会員 月6,000円)のような月額型サービスでも、2年分の利用料が対象です。低価格サービスほど「実質負担が数万円台で、見守り+駆けつけ+保険を始められる」点が大きな魅力になります。

5.2 申請の要件と流れ(つまずきやすい点)

  • GビズIDプライムの取得:行政手続き共通の認証ID。発行に数週間かかることがあるため早めに準備。
  • SECURITY ACTIONの自己宣言:IPAの制度で「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が申請要件。ID発行までおおむね2〜3日。
  • IT導入支援事業者(販売事業者)経由で申請:製品や業者を自由に選ぶのではなく、事務局に登録された支援事業者のサポートを受けて申請する仕組み。お助け隊サービスを再販する販売店などが窓口になります。
  • 交付決定“前”の発注・契約・支払いは対象外:申請して交付決定を受けてから契約・導入するのが鉄則。フライング発注は補助の対象外。
  • 賃上げ要件:補助額150万円以上の申請や2回目以降の申請では、賃上げ計画等の要件が付く場合があります。

大まかな流れは、①支援事業者とサービスを選定 → ②GビズID・SECURITY ACTIONを準備 → ③交付申請 → ④交付決定 → ⑤契約・導入・支払い → ⑥実績報告 → ⑦補助金交付 → ⑧効果報告、という順序です。準備に数週間かかるため、導入したい時期から逆算して動くのが成功のコツです。

5.3 地方自治体の補助金もあわせて確認

国の制度に加え、県や市町村が独自にIT・DX・設備導入の補助を実施している場合があります。全業種対象で上限数十万円・補助率1/4〜1/2程度のものが多く、お助け隊のUTM設置費などの初期費用に充てられることもあります。

  • 探し方(中国地方):広島県は「DX簡易診断ツール/支援メニュー」ポータル(dx-hiroshima.jp)で県内の補助金を一覧できます。例として三次市の小規模事業者向け設備等導入補助(上限30万円・補助率1/4)などがあります。岡山・山口・島根・鳥取も、各県・市の産業振興/中小企業支援のページで最新の公募を確認してください。
  • 相談窓口:地元の商工会議所・商工会、各県の中小企業支援センター・よろず支援拠点、中小機構の「J-Net21」や「ミラサポplus」。お助け隊の「お助け実働隊」を担う地域IT事業者も申請相談に応じてくれます。
  • 注意点:同じ経費を国と自治体の両方で二重に補助してもらうことは原則できません。併用の可否は事前に確認を。制度内容・金額・公募時期は年度ごとに変わるため、必ず最新の公募要領で確認してください。

5.4 費用負担のイメージ

国の「セキュリティ対策推進枠」を活用すれば、お助け隊サービスの実質負担は半額〜3分の1程度まで圧縮できます。PFUや商工会議所モデルのような低価格サービスと組み合わせれば、「年間数万円の自己負担で、見守り・駆けつけ・サイバー保険まで」という現実的な対策が可能です。ただし、GビズID・SECURITY ACTIONの準備、登録支援事業者を通じた申請、交付決定前の発注禁止といった手続き要件を外さないことが肝心です。まずは導入したいサービスの販売事業者に「補助金を使いたい」と相談するところから始めましょう。

出典:中小企業庁/中小機構「デジタル化・AI導入補助金2026」ポータル(セキュリティ対策推進枠・手続きフロー)、IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス」公式情報、広島県DX支援ポータル等。補助額・補助率・要件・公募時期は変更される場合があるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください(2026年6月時点)。


第6章 選定の指針とまとめ

  • まず最低限の対策を最安で:商工会議所モデル(会員 月6,000円)。地域の実働隊による駆けつけが心強い小規模事業者向け。
  • テレワークPC・端末をしっかり守りたい:PFU「PCセキュリティみまもりパック」(月750円/台)。検知+駆除支援(リモート+エンジニア派遣)が低コストで一体化した編集部推奨。
  • ネットワークと端末を両面で:商工会議所UTM+PFU端末監視の組み合わせ、またはアクシス/バリオセキュア等の併用型。
  • 規模が大きい・機微情報を扱う:大塚商会「EasySOC V(FortiGate・2類)」など、監視台数拡大とコンサルティングを伴う2類サービスへの移行を検討。

重要なのは「端末監視型=すべて防げる」ではない点です(第2章2.1.2参照)。自社が重視するのが「侵入の防御」か「侵入後の検知・対応」かを見極め、可能なら両方を備える構成を選ぶこと。そして、サプライチェーンの一員として「最低限の鍵をかけている」状態を保つこと——それが中国地方の中小企業にとっての出発点です。

出典・参考:IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス」公式サイト(監視種別サービス一覧・サービス提供事業者一覧・各社個別ページ)、各サービス提供事業者および監視製品メーカーの公開情報。価格・仕様は変更される場合があるため、契約前に各社の最新情報をご確認ください。

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